もっと早く成長したかった
2021年に製品構成を見直し、顧客の業界に特化する形で展開を図ったところ、製薬向けの製品がヒットした。製薬業界向けの売り上げは前年の3倍に達し、単月黒字も見えてくるなど「いい1年になった」と実感する。ただ、「もっと早く成長したかった」と悔しさもにじむ。
創業からプロダクトが売れない時期が長く続いた。AIと人力によるコミュニケーション分析というコア技術を基に、さまざまな製品を投入するも伸び悩む日々。「どうしていいか、わからない」。会社が潰れる寸前まで追い込まれた。
「王道」の大切さ
「最後の挑戦」。15年、悲壮な決意を胸に米国のアクセラレータープログラムに参加し、自分自身やビジネスと徹底的に向き合った。そこでわかったことが「王道」の大切さである。
「それまでは自分のやりたいことが先行し、ユーザーの声を聞けていなかった。ちゃんとユーザーのほしいものをつくる。ビジネスはやはり王道の組み合わせなんだと気付かされた」
帰国後、製品もマーケティングも営業方法も全てを見直してリスタートし、「ようやくアクセルを踏めるようになった」と力を込める。
「認知バイアス」に挑む
自社のビジネスは「認知バイアスを取り除く」ことを目指す。認知のバイアスは、先入観や思い込み、固定観念など、公平で合理的な意思決定を阻害する。それを技術で克服したい。現在の事業は、目標の実現に向け、人間のコミュニケーションのデータを集めるためのものでもある。「まだまだ途中だとわかっているから、やりがいがある」。
長い歴史の中で、人間は技術の力によって能力を拡張し続けてきた。思考でさえもそれは例外ではないだろう。「人は自分が冷静でないことに気が付けない。それがさまざまな争いを生んでいる」。思考は人間の機能が抱える最後の限界かもしれない。だからこそ、挑む価値がある。
プロフィール
河野理愛
1982年生まれ、徳島県出身。慶應義塾大学総合政策学部卒。大学在学中の2001年にNPO法人を設立、代表として経営を行う。05年にソニー入社、カメラ事業を中心に、経営戦略、商品企画に従事。ディー・エヌ・エーを経て、13年コグニティを設立。
会社紹介
会話や文書などのコミュニケーション解析結果のデータベースを活用して、営業や接客、プレゼンテーションなどの好成績者・チームの傾向をモデル化し、定量的に比較評価する解析サービス「COGシリーズ」を提供。