これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「StoryHub・田島将太代表取締役CEO」を取材しました。
新幹線で開成へ
高校の3年間は、新幹線で通った。群馬との県境にある埼玉・本庄市から、東京・開成高校へ。在来線なら片道約2時間。高校の始業は朝8時10分で、とても通えない。「塾には行かないから」と親に頼み込み、新幹線通学を認めてもらった。
東京大学合格者数トップを誇る高校。入学して、違和感を覚えた。「僕以外、みんな知り合いだった」。SAPIX出身の「サピ勢」、早稲田アカデミー出身の「早稲アカ勢」。同じ塾に通っていた者同士ですでにつながっている。差は成績ではない。どんな情報に触れてきたか、その違いだった。「情報流通が大事だと感じた原体験の一つ」と振り返る。
格差は情報だった
小学生のころから本をよく読んだ。ファンタジー小説が好きで、ハリー・ポッターに夢中になった。「勉強も得意だった」と言い、地元の公立中学時代、テストの点数はいつも98点か100点。しかし、100点を取るためにケアレスミスをなくすことばかり考えていた。「もっと別の学び方もあったはず」と残念がる。そこにも情報格差があった。
開成高校から、東大理科一類に現役で進学。大学卒業後の3カ月は、米シリコンバレーのスタートアップでインターンを経験した。暇を見つけては街に出て得意の手品を披露し、道行く人に話しかけることで英語を覚えた。
幸福のインフラ
新卒で大手コンサルティング会社に入社したものの、研修期間の1カ月で退社。「不確実性に魅力を感じた」と、まだ創業から数年のスマートニュースに飛び込んだ。情報をどう届けるかを考える仕事に関わっていく。現在は、取材の音声や動画、資料など一次情報から記事を生成するAIツール「StoryHub」を手掛ける。
SNSやアルゴリズムによって、価値ある情報が届かず、同じ情報ばかりが流れることもある。その流れを整え、必要な人に必要な情報を届ける仕組みをつくる。「情報のエコシステムは、幸福のインフラだ」
プロフィール
田島将太
1992年生まれ、埼玉県出身。東京大学教養学部卒業。スマートニュースでメディア事業開発を担当した後、2019年に独立し、Webメディアのコンサルティングに携わる。22年にStoryHubを共同創業。
会社紹介
AIを活用したコンテンツ生成ツール「StoryHub」を開発。取材音声や動画などの一次情報から記事を生成し、文藝春秋や朝日新聞など大手メディアのほか、企業のオウンドメディア運用も含め約200社の情報発信を支援する。