これからの時代(Era) をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「ZEALS・清水正大代表取締役CEO」を取材しました。
少年のように目を輝かせ
2026年8月5日。壇上に現れたヒューマノイドロボット「D1」を見つめながら、少年のように目を輝かせていた。自ら開発を率いたロボットの発表会。報道陣の前で「D1、どんなことができるの」と語りかけると、D1は「人のそばで荷物を運んだり、簡単な手作業をお手伝いしたりするのが得意です」と答えた。
構想から9カ月。異例のスピードで製品化し、販売を始めた。「頑張ってつくってきたものを、やっと紹介できる」。表情から高揚感がにじんでいた。
日本を「ぶち上げる」
両親が共働きで、録画した「ドラえもん」のアニメを繰り返し見て育った。小学生の時の夢は「ドラえもんをつくる人になる」。しかし、工業高校を卒業すると、地元の大手メーカーの工場で働き始めた。父親の事業が行き詰まり、「安定した会社で働くことが大切」と考えた。航空機部品の製造に携わったが、次第に違和感を抱く。
「これが自分の人生なのか」。転機は東日本大震災だった。もし自分が被災していたら。そう考えた時、「人生を変えたい」という思いが込み上げた。「日本をぶち上げる」。何をするかは分からない。ただ、それくらい大きなことに人生を賭けたいと思った。会社を辞めて受験勉強に励み、大学へ進んだ。
夢に戻ってきた
大学進学時は政治家を目指していたが、世の中を変えているのはテクノロジーだと気付き、在学中に起業した。創業当初は事業も商品もなかった。飛び込み営業を繰り返しながら、何を成し遂げたいのかを考え続けた。そしてたどり着いた答えは、子どものころと同じだった。
「ドラえもんをつくる」。少子高齢化が進む中、人とロボットが共存する社会をつくれば日本を変えられる。そう信じて15年、ロボット開発に挑んだ。しかし、当時の技術では理想の実現は難しかった。いったんロボットをあきらめ、事業を会話AIへと移した。それでも10年越しに、ロボット開発へ戻ってきた。「夢がかなったというか、ようやくスタートラインに立てた」。D1の全高は129.3センチ。ドラえもんと同じだ。
プロフィール
清水正大
1992年生まれ、岡山県出身。明治大学政治経済学部中退。2014年、大学在学中にZEALSを創業。グローバル展開を目指し、22年に米国法人を設立。
会社紹介
接客AIエージェントや会話AIを開発・提供。2025年11月にロボティクス事業を立ち上げ、ロボットOS「Omakase OS」、基盤モデル「Omakase Zen」、コンパクトヒューマノイド「D1」を展開する。医療や介護、物流、製造など人手不足が深刻な現場への導入を目指す。