これからの時代(Era)をつくりだす存在となるであろう業界注目の若手経営者にフォーカス。そのビジネス観や経営哲学に迫ります。今回は「Sotas・吉元裕樹代表取締役社長」を取材しました。
ワクワクするから成功する
「成功するからワクワクするんじゃない。ワクワクするから成功する」。経営者として大切にしている言葉だ。
先日、8年ぶりに中国・重慶を訪れた。以前は日本車が目立った街で、テスラや中国車が目についた。「日本の国力の減退を痛感した」。一方、半導体材料などでは日本の化学メーカーが世界で強みを持つ。「日本の経済を再興できるポテンシャルがある」。化学産業を日本経済のけん引役にしたいと考えている。
小学3年から一人暮らし
両親の別居をきっかけに、小学3年生から一軒家で一人暮らし。隣の家に祖母は住んでいたが、食事は自分でスーパーの総菜や弁当を買うことも多かった。家で体育座りをしながら、しくしく泣いた時期もある。父は害虫駆除の会社を経営し、水泳や習字などの習い事もさせてもらえたが、「最初のころは本当に寂しかった」と話す。
中学から卓球に熱中し、高校ではインターハイに出場。部活帰りは決まって「ラーメン二郎」に通った。大学院では都市計画を研究。就職活動では「1年目からバリバリやりたい」と大手デベロッパーの内定を断り、愛知県の不動産ベンチャーへ。昼間は住宅の営業に回り、午後10時からは自作のチラシ3000枚をポスティングする日々。終わるのは午前3時になることもあった。「目の前のことにフルスイングしてきた」
化学に恩返しする
グローバルな仕事をしたいと化学メーカーのDICに転職し、その後日産自動車へ。そこで自らの事業を、「虫取り少年」のように楽しそうに語るシリコンバレーの起業家に出会った。「自分もそっち側に行きたい」。ITスタートアップで経験を積み、起業の道を選んだ。
目を向けたのは、古巣の化学産業。約5年過ごしたDIC時代は厳しく指導されたが、父を亡くした時には上司や周囲に支えられた。「すごく愛にあふれる業界」。だからこそ、「人生をかけて恩返ししたい」と思った。
日本の優れた素材を世界に広げ、化学産業を強くする。その未来を思い描くことが、今の「ワクワク」につながっている。
プロフィール
吉元裕樹
1986年生まれ、東京都出身。日本大学大学院理工学研究科修了。DICで営業、新規事業開発・事業責任者を経験。日産自動車でカーシェアサービスの事業統括やMaaS戦略策定に従事した後、ACALLで取締役副社長COO。2022年にSotasを創業。
会社紹介
化学産業向けのデジタルサービスを開発・提供。サプライチェーンの化学調査を効率化する「Sotas化学調査」、化学産業の情報を集約した「Sotasデータベース」、化学素材の商取引を支援する「Sotas ChemMart」を展開する。