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<マックワールド特集>変貌遂げるアップルコンピュータ 戦略製品「iMac」で復調、経営体質の変化も下支え
1999/02/15 21:12
パソコン産業の大きな台風の目になっているのがアップルコンピュータだ。昨年の今頃は、その存続さえも危ぶまれていた同社だが、米国アップルコンピュータの暫定CEOであるスティーブ・ジョブズ氏の経営手腕によって、完全に息を吹き返した格好となった。その原動力となったのがiMacである。日本においても、昨年8月29日の発売以来、好調な売れ行きを見せ、パソコンショップ店頭では、最も売れているパソコンとしてトップシェアを維持し続けている(BCNランキング調べ)。最新の5色のiMacも、流通制度などについて、販売店からの反発はあるが、その勢いに衰えはない。さらに、新パワーマックG3の発売によって、プロフェッショナルユーザー層の獲得にも成果をあげている。アップルコンピュータの取り組みを探ってみた。
商品力あるマック投入、第1四半期 出荷台数49%増に
アップルコンピュータの経営体質は、この1年で大きく変化してきている。昨年のこの時期は、業績が黒字に転換、マイクロソフトからの出資を得たものの、依然として不振説が払拭できないままでいた。
だが、この1年の間に、まるで別企業のようにアップルは変身したといっていいだろう。その背景には、2つの大きな要因がある。1つは、iMacに代表される強力な製品群の投入である。米国で8月15日に発売されたiMacは、12月31日までの間に80万台を出荷、同社躍進の原動力となった。
出荷台数の変化を見ても、98年度第2四半期(98年1-3月)には全世界で65万4000台だったマッキントッシュの出荷台数が、iMacを発売した98年第4四半期には83万4000台に拡大、最新四半期である99年度第1四半期(98年10-12月)は、94万4000台と前年同期比49%増の出荷台数となっている。
中核となるiMacについて、さらに詳細を見てみよう。日本においても、8月29日の発売以来、品薄が続き、異例ともいえる定価販売が継続されたという点で、その人気ぶりが証明されているが、米国でも高い人気を誇っていることが米国で発表された資料からわかる。
例えば、iMacに対応するUSB対応周辺機器は、日本で76種類、全世界で100種類にのぼっている。また、5月のiMacの発表以降、これまでに発表されたiMacで動作可能なアプリケーションソフトは、日本で150種類、全世界で1355種類にのぼっている。
購入者のプロフィールによると、「初めて購入した」というユーザーが32%、「ウィンドウズからの乗り替え」が13%。このデータを見る限り、iMac購入者全体のうち45%が初めてマックを購入するユーザーになる。
「日本においても、ほぼ同様の結果を示しているが、さらにニューユーザーの比率が高い」と原田永幸社長は話す。iMacが個人の新規ユーザーを獲得していることはこのデータからも明らかだといえるだろう。
さらに、今年に入ってからは、パワーマッキントッシュG3を投入。アップルが得意とするデザイン市場や、今後市場拡大を狙っているビジネスサーバー領域にも、この製品で入り込んでいこうとしている。いずれにしろ、こうした「アップルらしい」製品群によって、アップルの業績は大きく向上した。
経常利益も大幅改善、在庫日数は2日に短縮
そして、もう1点は、アップルの経営体質の大幅な改善である。先頃、米国アップルコンピュータが発表した資料によると、99年度第1四半期(98年10-12月)の売上高は17億1000万ドル、経常利益が1億5200万ドルとなっている。
これを1年前の98年度第1四半期(97年10-12月)と比較すると、売上高15億7800万ドル、経常利益4700万ドルであり、この1年で業績が大きく伸びているのがわかる。利益向上は、在庫日数および在庫額が大幅に削減されているという体質改善の成果でもある。
例えば、在庫日数は98年度第2四半期には22日間だったものが、第3四半期には11日間、第4四半期には6日間となり、最新四半期である99年度第1四半期は2日間という在庫日数になったという。
「この分野で先進的といわれてきたデルコンピュータの場合でも、在庫日数は7日間であり、アップルコンピュータはこれを抜いた」(アップルコンピュータ・原田社長)という。
同時に在庫金額も大幅に減少、98年度第2四半期には2億5000万ドルあったものが、第3四半期に1億2900万ドル、第4四半期には7800万ドルになり、最新四半期では2500万ドルの規模に縮小した。こうした在庫削減策がアップルの財務体質を大きく改善させたといっていいだろう。
パートナーシップ強化、プロ市場で成長目指す
「98年はiMacによって個人市場における成長戦略を成功裏に行うことができた。99年はデザイン市場などを対象にしたプロフェッショナル市場における新たな成長戦略を開始する」--アップルコンピュータの原田社長は、日本における今年の事業展開についてこう話す。
98年のアップルコンピュータの取り組みを見る限り、一時期は縮小を宣言していたコンシューマ分野への展開を、iMacの投入によって改めて開始し、パソコンショップにおいて、トップシェアを維持し続けるという実績をつくった。
5色のiMacに変更後も、依然として人気は高く、今や個人向けパソコンの代表製品となった。そのアップルが1月14日から出荷を開始した新パワーマックG3では、プロフェッショナル市場に向けた新たな展開を開始する。
アップルが得意とするデザイン、印刷、医療などの分野に対して、この製品を販売していこうというものだ。また、企業や教育分野におけるサーバーマシンとしても積極的な販売を進めていく考えだ。
次期四半期(今年4-6月)の間に発売を予定しているMacOS Xサーバーの投入も、こうしたプロフェッショナル市場での拡大を後押しすることになるだろう。
この分野における展開に向けてはビジネスパートナーとの連携も強化、とくに、キヤノン販売、大塚商会、ソフトウェア・トゥーの3社との協力関係を強化して販売を促進していく予定だ。
iMacに波紋広がる、流通施策の行方に注目
こうしたなか、販売店の間からは、アップルコンピュータがとったiMacの流通施策について、疑問を投げかける声も出ている。発売当初の販売店限定、高い仕切設定といった施策に関しては「新たな流通手法として歓迎したい」という声があがる一方、「販売店無視」といった声がでるなど、賛否両論だった。
だが、昨年11月に告知なしで搭載OSをMacOS 8.5へ変更した点、1月7日の突然の価格引き下げ策、そして、1月24日に発売となった5色のiMacのセット卸については、販売店からの反発が一気に高まった。
とくに、5色のセット卸については、「現在は売れているからいいが、不人気色が出た場合のメーカー側の対処方法などについても明確ではない」と販売店からの反発が強い。
また、アップル側が5色均等に台数を流通しているため、ユーザーにとっては、購入したい色が購入できないという構図になる可能性が強い。このあたりは早期の改善が迫られよう。
周辺機器も売上拡大へ、iMac効果で活性化
iMac効果ともいえるのが、周辺機器の売上拡大だ。とくに、メモリ製品、リムーバブル記憶装置などの動きがいい。リムーバブル記憶装置は、iMacが外部記憶装置を標準搭載していないため、後づけで購入するユーザーが増えている。
とくに、iMacカラーを施した専用製品の動きがいい。BCNランキングによると、FDDでは、ヤノ電器のUFD-01が1月度の集計で20.9%のシェアを獲得して第2位になっている。
DOS/V用のFDDが3000円台で販売されているのに対して、平均実売価格1万2900円と高価だが、安定した売れ行きを示している。また、アップルの純正FDDも高いシェアを維持しているほか、ロジテックなどが、この分野に参入し、今後の動きが注目される。
また、Zipでは、アイオメガの「11104」、スーパーディスクでは松下電器の「LK-RM734UZ」といったiMacカラーの製品が上位に登場、とくに「11104」は、ほかを寄せつけない販売実績となっている。
今後は、iMac用のMOがロジテックから発売されるなどの動きもあり、外付け記憶装置市場の活性化にも大きな影響を与えている。
一方、メモリでもiMac用の動きが活発だ。1月期のデータを見ると、売れ筋上位10製品のうち、6製品が、メーカーがマッキントッシュ用としているメモリ。なかでも、iMac用と打ち出しているメモリが上位を独占している。
アドテックの「AD-IMCA128」、「SD-IMCA64」、プリンストンの「PABG3SW-128」などの動きがいいほか、ハギワラシスコム、グリーンハウスなどからもiMac用のメモリが発売され、こちらの動きも注目される。メモリ需要が多い製品だけに、iMacによるメモリ市場の喚起は続きそうだ。
パソコン産業の大きな台風の目になっているのがアップルコンピュータだ。昨年の今頃は、その存続さえも危ぶまれていた同社だが、米国アップルコンピュータの暫定CEOであるスティーブ・ジョブズ氏の経営手腕によって、完全に息を吹き返した格好となった。その原動力となったのがiMacである。日本においても、昨年8月29日の発売以来、好調な売れ行きを見せ、パソコンショップ店頭では、最も売れているパソコンとしてトップシェアを維持し続けている(BCNランキング調べ)。最新の5色のiMacも、流通制度などについて、販売店からの反発はあるが、その勢いに衰えはない。さらに、新パワーマックG3の発売によって、プロフェッショナルユーザー層の獲得にも成果をあげている。アップルコンピュータの取り組みを探ってみた。
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