その他
.NETとJ2EEの確執 効率のよい利益を生むには
2002/10/21 15:00
週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載
.NETフレームワークに対するシステム販社の意見を総合すると、(1) .NETフレームワークへの対応を早急に済ませなければ時流に乗り遅れる、(2)本格的な .NET製品が登場するのは来年以降で、J2EEなど複数の方向性を考慮すべき、(3)高止まりしているJ2EEの値崩れを誘発する危険性がある――などである。(安藤章司●取材・文)
日立情報システムズの三寺誠一・ソリューションサービス事業本部産業・流通サービス事業部主任技師は、「現在、J2EEをベースに開発したシステムは、完全な売り手市場。値段は高止まりで、ウェブサービスを必要とする顧客企業はベンダーの言い値で買うしかない。しかし、 .NETフレームワークを使えば、同等機能のシステムがざっくり10分の1以下の価格で構築できる。そうなれば、来年以降、J2EEベースのシステムの価格は、 .NETに足を引っぱられる形で値崩れする」と分析する。
マイクロソフト関係者は、「J2EEで構築するシステムは、基本的に一品モノ。伝統の技であったり、技術者個人がもつ技量の集積でつくる”宮大工“の作品に似ている。これに対し、 .NETで構築するシステムは、限りなく建て売り住宅に近い」と話す「つまり、 .NETでは柱や壁、階段、扉、窓などがすべてパッケージ化されており、部品のつなぎ合わせで済む。当然、価格も安い。例えば”階段“をつくるのに『○○県の何年モノの杉じゃないとダメだという宮大工』がJ2EE派なら、『階段は安全に登れればいい』と実用主義的なのが .NET派だ」と評す。
来春登場する .NETサーバーには、 .NETフレームワークが最初から組み込まれる。今のうちに .NETフレームワークに対応したアプリケーションソフトを開発しておけば、来年以降、素早い営業展開ができる。「今はウィンドウズ上でしか動かない .NETフレームワークだが、仮にUNIXなどほかのOSでも動くようになれば、アプリケーションの販売対象が大きく広がる」(関係者)という。.NET対応に積極的なシステム販社は、「年内には .NETフレームワーク対応の業務ソフトを製品化する。どれだけ早く対応を済ませるかで、来年以降のビジネスが大きく変わる」(富士通ビジネスシステムの金沢昌一・マーケティング本部営業推進統括部ソリューション推進部担当課長)と、意気盛んだ。
一方で、「 .NETとJ2EEの2大潮流の両方に対応すべき」(NECソリューションズの花田信夫・フロントオフィスシステム事業部長)としながらも、「マイクロソフトのプラットフォームが変わったからといって、既存顧客に新しい投資負担を強いるわけにはいかない。顧客の要望に従って、来年以降、 .NETかJ2EEかの選択を段階的に行う」(NECネクサソリューションズの太田元治・共通SI事業部長)と慎重な販社もある。
J2EEによる高価なウェブシステムで利益を出してきた販社が、値崩れによって「開発コストばかりかかり、利益を出せなくなる」危険性が出てくる一方で、「.NET系列のパッケージばかり担いでいては、『何本売ったか』で評価される薄利多売の”売り子“に陥る」(システム販社)こともあり得る。販社独自のアプリケーションソフトも取り混ぜつつ、ターゲットとする顧客に応じて最も効率の良い利益が生み出せるプラットフォームを、その都度、柔軟に受け入れるという姿勢で対応するしかなさそうだ。
.NETフレームワークに対するシステム販社の意見を総合すると、(1) .NETフレームワークへの対応を早急に済ませなければ時流に乗り遅れる、(2)本格的な .NET製品が登場するのは来年以降で、J2EEなど複数の方向性を考慮すべき、(3)高止まりしているJ2EEの値崩れを誘発する危険性がある――などである。(安藤章司●取材・文)
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