その他
電子自治体共通基盤 北海道、6月に運営会社設立
2004/03/08 21:12
週刊BCN 2004年03月08日vol.1030掲載
全国の都道府県で、電子申請など電子自治体構築のためのフロントシステムを共同運営しようという動きが広がっている。そのなかで、北海道は道庁が中心となって電子自治体共通基盤の運営会社を6月にも設立することを決め、道議会に予算案を提出した。電子自治体共通基盤の運営は、アウトソーシングするケースや既存の第3セクターを活用するなど運営形態は様々だが、今回の北海道のように新会社を設立するケースは珍しい。
資本金5億円のうち4億円を民間分担
北海道は、オープンソースを基本に電子自治体を構築することを決めており、「北海道電子自治体プラットフォーム(HARP=Harmonized Application Relational Platform)」として開発する。これをシステム基盤として、電子申請などのアプリケーションを乗せる。
電子認証やストレージ管理、既存システムといった連携部分はミドルウェアとして提供。HARPでは、各モジュールとミドルウェアの間に「コントローラ」と呼ぶミドルウェアを置く。これによりウィンドウズやLinux、UNIXなど既存システムとの連携や新規アプリケーションとの連携が図れるようになる。
すでに、北海道の212市町村全てがHARPへの参加を決めているといわれる。これを受けて、北海道庁はHARPの運営会社を6月中に設立することを決めた。
計画によれば資本金は5億円で1億円を道が出資、4億円を北海道電力、NTT東日本など道内の有力企業で負担する。「社長は民間から登用する」(北海道総合企画部IT推進室情報政策課)という。社長を民間から登用するのは、“民営化”というイメージをアピールするとともに、他県でみられるような情報システムを請け負う第3セクターのトップが天下り人事の対象となっている弊害を避けるためとみられる。
運営会社は、道および各自治体から共通基盤の運用の委託を受ける。運用経費については開発費を含めて年間25億円を見込む。各自治体で開発費50万円、運用費20万円ずつを負担する定額部分と、人口比による負担率で費用負担を決める。
札幌市の場合、2004年度および05年度の費用負担は、HARP開発費約1億1000万円、電子申請開発費約340万円などとなっている。実際の運営は、要員の採用のほかにも道内システムインテグレータなどへのアウトソーシングといった再委託になりそうだ。北海道では、「地元IT関連企業のビジネス開拓」(同)の狙いもあり、大手ベンダーにとっても北海道企業との連携強化など、自治体ビジネスの戦略転換が迫られそうだ。
今回、北海道は会社設立により、電子自治体基盤運営を行うことにした。この場合、各自治体で共通基盤を活用することになる業務システム開発なども新会社が窓口になるとみられる。各県で共同運営のための協議会を設立しているケースが多いが、法人格を持たない団体では事業の発注ができない。
東京都も03年2月に「都区市町村電子自治体共同運営協議会」を設置し、電子申請と電子調達を都内の区や市町村と共同運営することを決めている。だが、「利用のためには各自治体と請け負った業者の個別契約になる」(東京都総務局IT推進室)と、実際には決まった額、決まった業者でありながら、個別に随意契約を交わさなければならない。また、他の共同運営に関する協議会でも同様に、契約の煩雑さの解消を課題に挙げるケースがある。
開発費用および運営費用の負担原則を明確にし、企業体としての運営に一本化することを決めた北海道の政策は、今後、他の自治体でも検討されることになるだろう。
全国の都道府県で、電子申請など電子自治体構築のためのフロントシステムを共同運営しようという動きが広がっている。そのなかで、北海道は道庁が中心となって電子自治体共通基盤の運営会社を6月にも設立することを決め、道議会に予算案を提出した。電子自治体共通基盤の運営は、アウトソーシングするケースや既存の第3セクターを活用するなど運営形態は様々だが、今回の北海道のように新会社を設立するケースは珍しい。
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