ソフマップ（山科光男社長）の「ギガストア名古屋駅ナカ店」が3月26日にオープンした。同社が強みとするパソコンおよび関連機器の中古機器を重視した販売に加え、薄型テレビやDVDレコーダーも扱う。“デジタル専門店”を前面に押し出した販売活動を展開する方針だ。JR名古屋駅前は、ビックカメラの「名古屋駅西店」が出店しており、激しい競争が繰り広げられることは確実。ソフマップにとって、名古屋駅ナカ店の出店が名古屋地区への本格的な進出となる。このため、名古屋駅周辺での「デジタル専門店」対「カメラ量販店」の激突に注目が集まっている。（佐相彰彦●取材／文）

名古屋市場での本格進出を果たす

■オープン前に1000人以上が行列

　ソフマップがギガストア名古屋駅ナカ店を出店したのは、JR名古屋駅構内太閤通口。売場面積は約1983平方メートル、イベントスペースなどを含めると約2810平方メートルを誇る。同社にとっては大型店舗という位置付けだ。オープンの3月26日には開店前に1000人以上が行列を作るなど、幸先の良いスタートを切った。

　アイテム数は約10万点。店内では、パソコンと周辺機器の新品や中古品、組立てパソコン用パーツ、ゲームソフトなどを展示。さらに太閤通口の改札方向から入る正面に大画面の薄型テレビやDVDレコーダーなどを並べたデジタル家電機器コーナーを設置した。このコーナーの広さだけでも260平方メートルある。

　ソフマップでは、秋葉原・カクタソフマップや大阪・なんば店、兵庫・神戸店などでデジタル家電を積極的に取り扱っている。しかし、店の正面入口に大きなスペースを割いてデジタル家電を展示したのはギガストア名古屋駅ナカ店が初めてだ。山科社長は、「デジタルアドバイザーとしてのノウハウを生かし、新品、中古品ともに（名古屋地区における）デジタル1番店を目指す」と話す。

　松田信行・総合企画部広報・IR室長は、「ギガストアのコンセプトは、パソコンに留まらず、デジタル家電まで幅広く扱うこと」と、デジタル家電を前面に押し出し、“パソコン専門店”の枠を超えた“デジタル専門店”を一層加速させた取り組みを名古屋駅ナカ店で実現するという。ほかにも、SOHO向けのセミナーや個人向けのパソコン教室、ゲームソフト関連のイベントなどを週替わりで開催する約330平方メートルのイベントスペースを設けた。

■初年度売上目標は約30億円

　「ギガストア名古屋駅ナカ店」では、中古品の買取りやコンピュータクリニックを行う「ソフマップサロン」を設置した。これは同社にとって初の取り組みだ。サロンは、ユーザーごとに区切られたブース形式となっており、備え付けのパソコンでブロードバンドを楽しんだり、100インチのスクリーンで映像を楽しめるなど、ラウンジ感覚で利用できる。「デジタル中古品に関して、当社はトップシェアの企業だと自負している。顧客の期待に応える」（山科社長）ため、買い取りサービスの強化に踏み切った。「この取り組みが成功すれば、ほかの店舗でも実施していく」（松田室長）方針。

　名古屋地域への進出は、昨年1月にナディアパーク店、ヤマギワソフトを子会社化したことによる2店舗の運営を含め、名古屋駅ナカ店で4店舗目となる。これまでの3店舗はいずれもソフト専門店だった。今回の名古屋駅ナカ店のオープンで、「いよいよ名古屋地区での本格進出が果たせた」（山科社長）ことになる。名古屋駅ナカ店の足立博之店長も、「名古屋地区の中核店舗として、多くのユーザーに来店してもらいたい」と抱負を語る。

　太閤通口には昨年11月にビックカメラが進出しており、直接対決は避けられない。松田室長は、「JR名古屋駅に直結し、ユーザーが雨の日でも傘をささずに店内に入れる。会社帰りや出張で訪れたビジネスマンが気軽に来店できる」と優位性を挙げる。

　同店の売上高は、初年度に約30億円を見込む。駅構内という好立地条件をどう生かしていくかが、売上高アップのカギだろう。