その他
中古パソコンビジネス戦線異常あり 撤退迫られる家電量販店
2005/04/25 15:00
週刊BCN 2005年04月25日vol.1086掲載
パソコン専門店や家電量販店の中古パソコンビジネスに異変が生じている。商材の品薄現象が起こっていることに加えて、新品パソコンの価格下落が激しいことで中古パソコンの価格も下げなければならず、中古事業に乗り出したショップが撤退するといった状況も起こりつつある。中古パソコンの販売は利益を稼げるウマ味のあるビジネスだが、それを拡大するとなればノウハウも必要となる。中古パソコンの需要が高まるなかで、ショップ側では中古ビジネスに力を注ぎ込むかどうかの決断が迫られている。(佐相彰彦●取材/文)
商材の品薄や価格下落で利幅縮小
■秋葉原最大級の中古専門店が閉店
ラオックスが経営していた東京・秋葉原電気街で最大級の中古専門店「PCEXPOT秋葉原本店」が3月31日に閉店した。同店は、ラオックスとピーシーデポコーポレーションの業務提携により2003年12月に秋葉原にオープン。地上5階建て、約600平方メートルの店舗でパソコン本体をはじめ、デジタルカメラやPDA(携帯情報端末)、ジャンク品などパソコン関連の中古品を取り扱い、ラオックスの中古分野への進出として注目を集めていた。閉店後、建物は暫定的に「ザ・コンピュータ館アウトレット店」としてリニューアルオープンしており、ジャンク品を中心に販売している。
閉店したのは、「中古ビジネスを今後どのような位置付けにするのか、方向性を社内で模索している段階」(ラオックス関係者)と見直しを図るため。「中古事業を拡大路線に乗せるかは検討課題。中古パソコンを拡販するには、そのための体制が必要」(同)と課題は大きい。しかし、ラオックスでは今でもザ・コンピュータ館を中心に各店で中古品の買い取りを行っている。現段階でも継続して手がけている買い取り事業については、「商品を競合店などに卸す方向も考えられる」と、中古ビジネスから一切手を引くというわけではなさそう。だが、PCEXPOT秋葉原本店の閉店は、規模の大きさから言って、ラオックスが事実上中古ビジネスから撤退したように映る。
■淘汰の時代に突入か
秋葉原電気街では、ほかにもパソコンの買い取りを行わなくなった小規模なショップが多い。これは、大手量販店を中心に中古ビジネスに参入するショップが増え、買い取り競争が激しくなったことを意味している。しかも新品市場で季節商戦向けに発売した20万円台の製品が商品の入れ替え時期に、“在庫セール”と銘打って10万円前半で売られていることが多い。こうした新品の価格下落が激しいことが、中古パソコンに低価格化という悪影響を及ぼし、利益を確保できにくくしている。
中古ビジネスを武器に競合他社との差別化を図るソフマップでは、「04年度(05年2月期)は、中古ビジネスが前年度の微増の見通し」(ソフマップ関係者)と堅調。しかし、「パソコン本体に関しては、販売台数が減ることはないものの、新品の価格下落の影響で中古品も低価格化している」と危機感を募らせている。このため、「今後はパソコンだけに限らず、薄型テレビやDVDレコーダーなどデジタルAV(音響・映像)機器の中古販売にも力を入れる」(同)と、アイテムを増やすことで今後も中古ビジネスを拡大させる方針だ。
パソコンなど中古ビジネスで利益を高めるには、自店やフランチャイズ店でユーザーから使用済みパソコンを買い取り、自社で商品化することがポイントだ。いかに大量の商品を買い取れるかにかかっている。しかも、迅速に“商品”にリフレッシュできることが必要となる。この体制ができなければ販売量は伸びず、販売機会を逃すことになる。結果的にビジネスは伸び悩み、簡単に不採算事業に陥ることになる。中古専門の卸事業者から商材を仕入れるという形態もあるが、新品と大して変わらないビジネスモデルという点で、利益率の高さは期待できない。
利益率が高いと言われている中古事業だが、軌道に乗せるためのノウハウをもっていなければ成功しない。在庫の品薄や新品の価格下落といった事態も起こり得る。中途半端に中古ビジネスに乗り出せば、手痛いしっぺ返しを受けることは今の秋葉原を見れば分かる。
パソコン専門店や家電量販店の中古パソコンビジネスに異変が生じている。商材の品薄現象が起こっていることに加えて、新品パソコンの価格下落が激しいことで中古パソコンの価格も下げなければならず、中古事業に乗り出したショップが撤退するといった状況も起こりつつある。中古パソコンの販売は利益を稼げるウマ味のあるビジネスだが、それを拡大するとなればノウハウも必要となる。中古パソコンの需要が高まるなかで、ショップ側では中古ビジネスに力を注ぎ込むかどうかの決断が迫られている。(佐相彰彦●取材/文)
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