その他
新戦略に走る保守サービスベンダー各社
2005/09/26 15:00
週刊BCN 2005年09月26日vol.1106掲載
ハード保守依存体質からの脱却目指す
マルチベンダー対応やシステム構築事業を積極化
情報システムの保守サービスベンダー各社が変わろうとしている。保守サービス会社にとって、大きなビジネスボリュームを占めるハードウェアの保守サービス事業は、ハードの低価格化の影響からサービス単価も下落し厳しい市場環境にある。各社は、「これまでのビジネスモデルでは生き残っていけない」との危機意識に立ち、サービス単価の下落に耐えられるだけのビジネスモデルの再構築やサービス提供体制の再整備に力を注ぎ始めた。保守サービスビジネスが安定的な収益が見込める時代は終焉を向かえ、各社がそれぞれの戦略で新たな保守サービス会社の在り方を追求し始めた。(木村剛士●取材/文)
■“上流工程”を強化する日立電サ ユニアデックス、ワンストップ提供目指す
日立製作所系保守サービス会社、日立電子サービス(日立電サ、百瀬次生社長)は、10月1日にオープン系システム構築に強い日立オープンプラットフォームソリューションズ(日立OPSS、山本義幸社長)と合併する。狙いは、情報システム関連事業の“上流工程”の強化だ。
上流工程とは保守サービス会社のフィールドである下流工程に対して提案や企画、設計、構築、そして導入を指す。日立OPSSが持つオープン系システムの提案力、情報システムの企画・設計力と、日立電サの保守・運用力を組み合わせることで、「情報システムのライフサイクルすべての面倒を見ることができるサービス体制を確立させる」(百瀬社長)。
百瀬社長は、「顧客は情報システムの企画から運用まですべてを1社のITベンダーに任せたいと思っている。だが、日立電サにはそのすべてを提供する十分な体制が整っていなかった」と合併の理由を説明する。また、「保守サービスの単価下落は今も続いている。(下落は)今後も進む」(百瀬社長)と予測。保守サービス事業だけでは生き残れないという意識からも、上流工程の強化、つまり日立OPSSとの合併の道を選択したわけだ。
日立電サの売上高のうち、保守サービス事業の割合は、昨年度(2005年3月期)62%。この数字を、売上高3000億円を見込む08年度(09年3月期)には50%まで下げ、その分運用サービスやシステム構築を拡大させることを計画している。
日本ユニシス系保守サービス会社のユニアデックス(福永努社長)は、保守サービスベンダーからの脱却に早くから動いていた。02年からネットワーク構築事業やソフトウェアサービス、回線リセールなどを、日本ユニシスをはじめユニシスグループから次々と譲り受けて事業基盤の拡大を図ってきた。
福永社長は、「オープン化、ダウンサイジングの流れのなかで、顧客の要望は複雑・多様化している。『サポートサービスだけ』というスタイルでは、相手にされない」と話す。「情報システムに関するすべてのサービスをワンストップで提供できる体制が、ユニシスグループ全体としてではなく、1社のなかに必要」とその戦略を説く。
日立電サとユニアデックスの戦略は似通っており、保守サービス事業単体でビジネスを継続させていくには限界があることを印象付ける。
■NECフィール、マルチベンダー化へ Fsasは効率化・最適化に動く
保守サービス最大手のNECフィールディング(富田克一社長)では、運用サービスなど保守サービス事業以外の強化を進めるとともに、NEC製品以外の保守サービスも取り込みかつ強化している点が特徴的だ。
オープン系システムが普及し、1社の製品だけでシステムを構築するケースはまれ。そのために系列会社以外の製品に対応する動きは各社どこも共通する。しかしNECフィールディングは、一気にマルチベンダー化を進めようという考えだ。そのためハードベンダーを中心に、現在150社にサポート事業を提供できるように提携を打診。今年度(06年3月期)内に50社と保守サービス事業で提携する方針を固めている。
富田社長は今後の重要ポイントについて、非保守サービス事業の強化とともに、「ソフトとNEC以外の製品に対するサポート対応力」を挙げる。「ハードの保守サービス単価の下落は今後も続き、前年度比10%減で下がっていくとみている。保守サービスビジネスを拡大させるためには、対応する製品を広げることで顧客単価を上げる」と(富田社長)方針は明確だ。
一方、保守サービスの提供体制の効率化、最適化に精力的に動いているのが、昨年10月1日に富士通の完全子会社となった富士通サポート&サービス(Fsas、前山淳次社長)だ。前山社長も各社のトップと同様に「保守サービス事業の単価下落に歯止めがかかっていない」と実感。危機感を滲ませている。単価下落に対応するため、まずコスト削減を掲げ、「効率的なオペレーション体制の確立」(前山社長)を図っている。
富士通の100%出資会社となったことで、富士通本体と富士通系保守サービスパートナーとの連携を密にする。Fsasと他の保守サービスパートナーとの間で「これまで曖昧だった」(前山社長)顧客の担当を明確にし、市場での競い合いを回避する。また、拠点の統廃合も順次進めており、Fsasが持つサービスセンターを45か所から15か所に減らすなどの効率化施策を断行。グループ全体の保守サービス事業の中核的存在として、リーダー役を担い始めている。
オープン化、ハードの低価格化は、保守サポート会社に大きな打撃を与え、保守サービス事業で安定的な収益は、到底見込めない状況。各社は、既存の保守サービス提供体制の整備と、保守サービス事業からの脱皮による収益力改善と売上高アップを狙う。
システム構築や運用サービスというシステムインテグレータ(SI)が主戦場とする領域で、どのように保守サービス会社としての強みを生かすことができるか。全国を網羅するサービス提供体制や、「営業よりも顧客と密接に接することができる」(百瀬・日立電サ社長)というカスタマーエンジニア(CE)の活用方法で、保守サービス会社の明暗が分かれることになる。
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