2010年には年商300億円目指す

　日本アイ・ビー・エム（日本IBM）のトップディーラー、日本ビジネスコンピューター（JBCC、石黒和義社長）は来年4月をめどにディストリビュータの新会社を設立する。ビジネスパートナーとの連携ビジネスの強化を目指したもので、主に日本IBMのサーバーやミドルウェア、レノボ・ジャパンのパソコン、日本IBMのISV（独立系ソフトウェアベンダー）パートナーの商材、JBCCグループが独自に開発した業務アプリケーションやプリンタなどを販売する。オフィス用品や周辺機器などを取り扱うグループ会社のサプライバンクの商品も積極的に提供する考えだ。新会社は2010年をめどに年商300億円を目指す。

　ディストリビューション事業単体で比較すれば、ダイワボウ情報システムや大塚商会など大手ディストリビュータの規模よりも小さい。だが、他社にはないオリジナル商材やソリューション力などの強みを生かすことで、差別化を図る方針。

　日本IBMの幹部は「顧客企業の経営問題を解決するソリューション力をフルに生かすことで、中堅企業市場に強いディストリビューションに期待したい」と語り、中堅企業に強みを持つ統合アプリケーション・サーバー、iシリーズのターゲット層に直結したディストリビュータとして大きな成長が見込めると分析する。

　これまではJBCC本体のなかで、ディストリビューションを通じたビジネスパートナー事業を拡大してきた。ビジネスパートナー事業の売上高は昨年度（2005年3月期）約80億円で1999年度に比べて約4倍に拡大した。今年度は100億円を見込むなど順調に推移している。これを受けて、来年4月をめどにパートナー事業を本体から切り出してディストリビューションの新会社を設立することで体制を強化する。同時に、ソリューション事業を行う会社と新会社を傘下に収めた持株会社体制に移行する。これにより、それぞれの事業の方向性をより明確にして相乗効果を高める。

　JBCCのビジネスパートナーは地域で活躍する日本IBMのビジネスパートナーと重なることが多い。

　今年3月末時点のJBCCのビジネスパートナーは345社で、00年に比べて約4・3倍に増加。05年9月末には371社に達している。地域のIBMビジネスパートナーの中には、強力な営業力を持つJBCCを競合会社として警戒する向きもあった。このためJBCCは「地域のビジネスは地域のパートナーに任せる」（青木寿人・JBCC執行役員マーケティング担当兼パートナー事業部長）点を明確に打ち出すことで不安を取り除き、パートナービジネスの拡大を推し進めてきた。

　東北地区のIBM有力ビジネスパートナーのある幹部は、「JBCCからビジネス上で連携を求める打診がある」としたうえで、「地域に密着したビジネスを展開している当社が、全国ベースでビジネスを見ているJBCCに負けるとは思えない」と地域に置ける自社の優位性を指摘する。ただ、JBCCが優れた商材を提供してビジネスにプラスになると判断すれば、「協業も視野に入れる」と前向きだ。

　JBCCでは、ハードやパッケージソフトの提供だけでなく、24時間無休でサーバーの動作状況を監視するネットワークサービスを地域のパートナー経由で展開するなど、パートナーがビジネスを拡充するための付加価値の高い商材の拡充に力を入れる。JBCCの特色を生かした事業展開が成長のカギとなりそうだ。 安藤章司●取材／文