その他
クライアントLinuxに新たな動き ターボ、Win対応アプリからの移植を支援
2005/11/28 14:53
週刊BCN 2005年11月28日vol.1115掲載
クライアントコンピュータ向けLinuxの普及に向けた動きが活発化している。ターボリナックス(矢野広一社長)は、今月25日の新バージョン発売に合わせて、ソフトベンダーを対象に同OS対応アプリケーションの開発支援策を来年早々にも開始する。クライアントLinuxにこだわり続ける同社が、対応アプリの拡充に本腰を入れて取り組み始める。一方、クライアントにLinuxなどのOSS(オープンソースソフトウェア)を導入する政府主導の実証実験が、来年4月から自治体でも始まる。クライアント向けOSS普及に向けた新たな動きが、ベンダー、利用者側の双方から始まっている。
自治体では初めてのOSS活用実証実験を開始
ターボリナックス(矢野広一社長)は11月25日、約2年ぶりのバージョンアップ版となるクライアントコンピュータ向け最新Linux「Turbolinux FUJI(version.11)」をリリースした。「ウィンドウズによる寡占市場を打破したい」という矢野社長は、2年間で30万本という強気の販売目標を打ち出している。前バージョンの販売実績は2年間で10万本。それに比べ3倍のスピードで販売を加速させる。
矢野社長は、「OSS市場は確かにジャンプアップといえるほどの成長はしていない。ただ、政府がクライアントPCにOSSを搭載しようと積極的に動いていることから、今後着実に需要は広がる」と予想する。同社のOSは、コンピュータ教育開発センター(CEC、宮島龍興理事長)が進める「平成17年度教育情報化促進基盤整備事業」の実証実験用に、岐阜県と茨城県つくば市内の小中学校でクライアント用OSとして採用された。これらの実績が中長期的にみれば、「必ず企業ユーザーにも波及する」と自信を覗かせる。
同社は「FUJI」の投入をきっかけに新たな販売戦略にも打って出る。「アプリケーションソフトの拡充が重要課題」(矢野社長)として、株式上場で得た資金のうち約4億円を対応アプリの拡充にあてる。
「対応アプリは自社開発も視野に入れているが、既存のウィンドウズベースのアプリをソフトベンダーに依頼して『FUJI』に移植することも検討している」。そのうえで、「詳細がまとまれば、ソフトべンダーへの資金援助など具体的な開発支援策を作り、来年早々にも公開する」としている。
とくにワープロや表計算などのオフィスソフトを重要視しており、他社と協業してコミュニティを作り、そのなかで新たなオフィスソフトを開発するという可能性も模索している。
一方、利用者側では政府の動きが活発だ。経済産業省の外郭団体である情報処理推進機構(IPA、藤原武平太理事長)は、OSS普及促進のため、自治体の実務現場にLinuxほかOSSを導入する実証実験を来年4月から開始する。
政府主導によるこの実証実験は、教育機関では昨年からスタートしているが、自治体が対象になるのは今回が初めて。「クライアントPCの台数やOS、アプリケーションソフトの種類などは各自治体が今後決定する」(IPA)予定で、来年4月から北海道札幌市など4自治体で実証実験が開始される。
IPAの宮崎卓行ソフトウェア開発支援部オープンソースソフトウェアグループリーダーは、「教育機関での実証実験の結果では、導入費用を抑えることはできた。自治体でも、同様のコスト削減効果が出るかを見極めたい」と期待する。
OSSに対するITベンダーの評価は、マイクロソフトが圧倒的なシェアを持つ現状では、まだまだ懐疑的ではある。
「自治体や学校への導入が進んだからといって、一般企業にその勢いが波及するかは疑問。パソコンメーカーという立場から見て、ビジネスとしては少なくともまだ5年間は厳しいだろう」(大手パソコンメーカー幹部)。
「アプリケーションの開発を支援するといっても、OS自体の普及が進まない限り対応は難しい」(セキュリティソフトメーカー・マーケティング担当者)という意見が大勢。ハード、ソフトベンダーを巻き込んで、普及の足場を固めたいというターボリナックスの戦略は、簡単には受け入れられそうにない。
だが、クライアントLinux市場トップの同社が、新版発売とともに対応アプリの拡充に取り組み始めたことは、OSSの普及が新しい段階に踏み出したことを意味している。自治体での利用実験も含めて、OSSがマイクロソフトの圧倒的な市場支配にどこまで食い込めるか、真価が問われるのはこれからだ。
クライアントコンピュータ向けLinuxの普及に向けた動きが活発化している。ターボリナックス(矢野広一社長)は、今月25日の新バージョン発売に合わせて、ソフトベンダーを対象に同OS対応アプリケーションの開発支援策を来年早々にも開始する。クライアントLinuxにこだわり続ける同社が、対応アプリの拡充に本腰を入れて取り組み始める。一方、クライアントにLinuxなどのOSS(オープンソースソフトウェア)を導入する政府主導の実証実験が、来年4月から自治体でも始まる。クライアント向けOSS普及に向けた新たな動きが、ベンダー、利用者側の双方から始まっている。
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…