その他
IPベースのSANが普及段階迎える 新規導入企業でも認知進む
2006/08/14 14:53
週刊BCN 2006年08月14日vol.1150掲載
IP-SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)が本格的な普及期を迎え始めている。これまでSANといえば、ファイバーチャネル(FC)スイッチベースのFC-SANシステムが主流だったが、最近では通常のスイッチでもSANが構築できるようになった。これは、IPベースの接続が可能なインターフェイス規格「iSCSI」を搭載したストレージ機器が増えているため。FC-SANは、FCについての専門知識が必要だった。しかし、IP-SANは一般的なIPネットワークのノウハウでシステム提供が可能となる。そのため、多くのSIerやディストリビュータなどがIP-SANを活用したスイッチやストレージ機器の拡販に力を注いでいる。
FCに比べて手軽で低コスト
ネットワンシステムズでは、EqualLogic製のiSCSIストレージ機器をベースに「これまでに50社弱のIP-SANの顧客企業を獲得した」(田中潤・NWテクノロジー本部ネットワークストレージ事業開発部第1チーム)という。
「最近では、ストレージ需要の増加にともない、低価格なSANシステムの構築ニーズが高まりつつある。こうしたニーズに対し、IPベースのSAN構築を提案するようにしている。今年度(2007年3月期)末までには顧客企業が100社に増えるはず」と、IP-SANの導入拡大に自信を示す。
ネットマークスでは、昨年秋に発売されたEMC製のストレージ機器「CLARiX AX100」シリーズをベースにIP-SANビジネスを本格化。「ストレージ機器に加えて、データベースやミドルウェア、アプリケーションなどを含めたデータマネジメントソリューションを提供している」(根岸潤一郎・ストレージネットワーキング事業部長)という。
両社は、FC-SANビジネスも手がけているが、「低価格なIP-SANは、初めて本格的なストレージシステムを構築しようとする企業に売り込みやすい」(ネットワンシステムズの田中氏)という。また、「自社内での運用を前提にSANシステムの新規導入を検討する企業に対しては、FC-SANよりも簡単に管理できるIP-SANを提案している」(ネットマークスの根岸部長)と、IP-SANの手離れの良さを指摘する。
両社とも、「最近のFC-SANビジネスは、すでにSANを構築しているユーザーへの増設や設置拠点の拡大に重点が移っている。しかし、IP-SANは新規顧客の開拓に有効な手段」というのが共通の見解だ。
IP-SANは、通常のギガビット対応イーサネットスイッチでシステムを構築できる点が最大のポイント。光ファイバーでネットワークを構築しなければならないFC-SANとは異なり、SIerの技術者にとっては通常のネットワーク知識でシステムを構築できることになる。
IP-SANは、1999年にIPベースのインターフェイス規格「iSCSI」が登場した頃から話題となったが、普及は遅れ気味だった。ストレージ機器メーカーがインターフェイスとして採用しなかったこと、iSCSIストレージ機器の価格が高かったことなどがネックとなってきた。
ところが、IP機器の浸透を受けて、昨年後半からiSCSI対応のストレージ機器を投入するメーカーが増えてきた。しかも、FCのシステム構築に比べて、IPのほうが5分の1程度のコストで済むことから、ユーザー企業でもIP-SANシステムを構築するニーズが高まりつつある。こうした状況を反映して、SIerがシステム提供に力を入れ始めているわけだ。
最近では、ストレージ関連ディストリビュータもIP-SANビジネスへの進出を検討している。エヌ・シー・エル・コミュニケーションでは、これまでFC-SANシステムを扱っていなかったが、「IP-SANであれば、ストレージ関連製品に特化したディストリビュータの強みを生かしてSIerとの取引を拡大しやすい。近い将来には、スイッチのディストリビューションにも着手し、IP-SAN市場でのシェアを高めていきたい」(織田博靖社長)。IP-SANのニーズが高まるとともに、新規参入のSIerやディストリビュータが相次ぐ可能性が高く、顧客獲得を巡る競争が激化しそうだ。
IP-SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)が本格的な普及期を迎え始めている。これまでSANといえば、ファイバーチャネル(FC)スイッチベースのFC-SANシステムが主流だったが、最近では通常のスイッチでもSANが構築できるようになった。これは、IPベースの接続が可能なインターフェイス規格「iSCSI」を搭載したストレージ機器が増えているため。FC-SANは、FCについての専門知識が必要だった。しかし、IP-SANは一般的なIPネットワークのノウハウでシステム提供が可能となる。そのため、多くのSIerやディストリビュータなどがIP-SANを活用したスイッチやストレージ機器の拡販に力を注いでいる。
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