エプソン販売（真道昌良社長）は11月1日、100％子会社のエー・アイ・ソフトを吸収合併し、経営資源の一元化と両社製品の融合を図る。合併前から家電量販店などの流通チャネルやブランドを統合しているが、製品面でさらに付加価値を生む開発・販売体制を築く。エプソン販売のプリンタや業務ソフトとエー・アイ・ソフトのOCRなどを連携させた内部統制関連の企業向けソリューションなどを拡充するほか、コンシューマ向けにもハードとソフトのセット提案を増やす。

　吸収合併によりエー・アイ・ソフトは解散した。同社社員は、主にエプソン販売の「ソリューションビジネス推進本部」へ移籍した。今年に入って、別々だった店頭販売の流通・卸を統合し、エー・アイ・ソフトの製品提供元を「エプソンAI」に統一していた。製品連携ではすでに、エー・アイ・ソフトの主力OCRソフト「読んde!!ココ」とエプソンのドキュメントソリューションを融合させ、大量文書の電子化や活用、管理、共有化をサポートする仕組みなどを提供していた。

　旧エー・アイ・ソフトの田村守康・前社長は「エプソン販売のハード製品を購入する企業ユーザーやコンシューマにソフトを加えて、ハードの利用価値を高めることができる。エー・アイ・ソフト製品を組み込んだソリューションをエプソン販売の代理店などを通じ拡大していく」と、両社統合で相乗効果をさらに生み出すという。

　エプソン販売が融合ソリューションとして検討しているのは、「読んde!!ココ」とエプソン販売のウェブ情報共有活用ソフト「ドキュメントブラウザ」や業務ソフト「応援シリーズ」、レーザープリンタなどを連携させた内部統制関連のソリューションなど、ハードに付加価値を生み出す形態を検討中だ。

　このほか、コンシューマ向けでは、エー・アイ・ソフトの名刺管理ソフト「スキャナde!!名刺管理」とエプソンのスキャナ、デジカメプリントソフト「デジカメde!!シリーズ」、同インクジェットプリンタやプロジェクタなどを店頭でセット販売する活動を増やす計画だ。

　元エー・アイ・ソフト社長を務めた北沢昇・ソリューションビジネス推進本部本部長は「企業向けでは、ソリューション提案に若干の弱点があった。これに実績のあるソフトを加え、内部統制に関連したものや業種業態に深掘りした提案ができるようになる。そのために、両社製品をシームレスに連携させるための開発を急ぐ」という。旧エー・アイ・ソフトの売上高は非公表だが、エプソン販売によれば「業績に与える影響は僅少」としている。