NEC（矢野薫社長）のNAS製品販売が好調だ。バックアップやリモート運用の用途でストレージ機器を導入する企業が増えていることが要因。2007年1月末で売上高が前年同期比14％増となったほか、今年早々にハイエンドモデルの新製品発売で、中堅企業を中心に一段とユーザー企業を獲得していく。NAS製品の販売で、今年度（07年3月期）全体では15％増を見込んでいる。

　同社は、NAS製品「iストレージNSシリーズ」として、ハイエンドモデルからローエンドモデルまで合わせて6シリーズを市場に投入している。

　福田知夫・クライアントサーバ販売推進本部主任は、「他社と比べて製品ラインアップが充実していることから、国内市場でも上位のシェアを獲得できている」と分析する。最近では、ディスク・トゥー・ディスクなどバックアップ用途でストレージ機器を導入する企業が増えていることに加え、リモート監視管理のニーズも出てきている。同社の製品は、すべてのモデルにリモート監視ソフトを搭載している。

　今年に入ってからは、ハイエンドモデル「NS460」の販売を開始した。この製品は次世代SCSI「SAS」やデュアルコアCPUを搭載した点に特徴がある。「サーバー統合を求めている中堅企業を対象に販売を増やしていく」計画だ。

　市場では、中堅・中小企業によるストレージ需要が増えていることから、ベンダー間の競争が一段と激しさを増している。しかも、個人ユーザーに対して、外付けHDDなどのストレージ製品を販売しているメーカーが、個人事業主やSOHO、中小企業向け製品を発売するケースも増えつつある。

　こうした状況のなか、「とくにローエンドモデルが価格面での要求が厳しくなっており、この分野で獲得したユーザー企業の流失を防ぐことが課題」という。このため同社は、ローエンドモデルに位置づける「NS46P」を、これまでより最大13％下げる価格改定を実施するなど、徹底して市場シェアの確保を推し進めている。

　機能面や価格面でユーザーニーズに対応していることが、NAS製品の販売を増やしている要因で、今後は医療など業種に特化した製品・サービスの提供にも力を注ぐことにしている。