その他
日立の選択
2007/04/02 14:53
週刊BCN 2007年04月02日vol.1181掲載
法人PCは付加価値がないのか
法人向けPCは、もう付加価値を見いだせない商品ということだろうか──。
先月上旬、日立製作所は法人向けPCの自社開発を止め、PCで世界トップシェアを誇る米HP(ヒューレット・パッカード)からOEM供給を受けることを決めた。今月から具体的な協業内容を詰めて、早ければ5月に投入する新製品から“米HP製の日立ブランドPC”に切り替わる。日立は法人向けPC市場から撤退するわけではないし、ブランドも変えずに販売する。
1983年に16ビットのビジネスPCを発売し、92年には「FLORAシリーズ」をリリース。その後、HDDを持たない「セキュリティPC」という斬新な製品も打ち出したが、法人向けPCの独自開発は今年で終止符を打つことになる。
この決断の理由を日立関係者は「コスト削減による利益向上」と説明する。コモディティ化したPCは、利益確保が難しい商材になった。OEM供給に切り替えれば、開発・製造経費は削減できコスト競争力が高まる。収益の改善だけでなく、コストメリットを差別化要素として販売を伸ばせば、利益拡大も図れる。これが、日立が今後進める戦略というわけだ。
だが、この戦略転換は「法人向けPCはもう付加価値が見いだせなくなった」と判断しているように感じる。今回の協業範囲が法人向けPCだけにとどまり、個人向けPCは日立が引き続き独自に開発・製造する点で、それは推測できる。 個人向けPCは、厳しい市場環境から抜け出せないでいるが、形状や製品コンセプト、機能で各社の色がまだまだ打ち出せる。ユーザーの要望も法人と違い多種多様で、ターゲットを絞ればヒット商品を出せる可能性を秘める。独創性と付加価値によって、差別化できる分野だ。だからこそ、日立はたとえシェアが低くても個人向けPCに関しては、協業範囲から外したはずだ。
また、日立は独自性があると思われる「セキュリティPC」ですら「米HPに開発委託することも協業内容に入れるどうかを検討している」(広報)と話す。この点からも、法人向けPCには付加価値が見いだせない、との判断を下したように思えてならない。
日立は、今回の決断による出荷量への影響について「ブランドも保守などのサービス体制も従来通り。影響はないだろう」(広報)と主張する。日立系SIerの日立情報システムズも「ブランドはそのままであり、販売に悪影響が生じる可能性はほとんどないのではないか」と、似通った見方をしている。
今回の日立の決断が奏功するか否かは、5月以降のPC事業の収益力で明らかになる。それと同時に、法人ユーザーがPCに対して何を求めているのかを判断するうえで、格好の材料にもなるはずだ。製造・開発に対するユーザーの執着心が高いのか低いのか──。その結果次第で、各メーカーのPC事業に対する考え方も変わるかもしれない。
米IBMが、PC事業を中国レノボグループに売却してから約2年。そして今回の日立の戦略転換は、PC事業のあり方を改めて問いただすことになりそうだ。
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…