SIerのアイティフォー（須賀井孝夫社長）が独自に開発した流通業向け基幹業務システム「RITS（リッツ）」が本格的に立ち上がった。約5年前から設計・開発してきた“虎の子”のパッケージソフトで、地方百貨店を中心に納入実績が増加。昨年度（07年3月期）の受注高は約10億円だったが、今年度は2倍の約20億円に増える見通しだ。

　名古屋の老舗百貨店「丸栄」に納入するなど、リッツを全面採用した流通業者は昨年度末までで累計3社に増えた。1システムをフルに導入すると10億円規模の商談になる大型商材である。今年度はフルシステムでの納入が2社、サブシステム単位での納入が4社の計6社からの引き合いがきていることから、「受注倍増に手応えを得ている」（望月忍・流通システム事業部長）。

　流通業界では大手百貨店の提携・再編が急速に進んでおり、対抗する地方百貨店や大型スーパーなどにおいてもIT化で競争力を高める動きが活発化している。こうした動きも拡販の追い風になっている。

　同社は金融機関向けの債権管理システムで全国トップクラスの納入実績があり、このノウハウをリッツに応用。流通業者が独自に発行するクレジットカードの債権管理やポイントカードの管理機能を強化した。また、パッケージの標準機能を充実させることで個別のカスタマイズの必要性を極力なくし、他の大手ベンダーに比べて納期を大幅に短縮するなど差別化に努めている。