SIerトップ集団の競争が激化している。2007年3月期決算ではNTTデータが過去最高の1兆円超の連結売上高をマークしたのに続き、野村総合研究所(NRI)が初めて売上高3000億円を超えた。合併や再編などで“3000億円プレーヤー”を目指す予備軍も続々現れてきている。一方で、ビジネスモデルの転換に遅れたり、トップ集団から大きく遅れをとったSIerが新たな生き残りの道を探る動きもみえる。
3000億円プレーヤー増える

ここ数年来の産業界の旺盛なIT投資の追い風を受け、大手SIerは業績を伸長させている。最大手のNTTデータは昨年度(07年3月期)、中期経営計画で目指していた連結売上高1兆円、営業利益750億円を大幅に上回る業績を叩き出し、NRI以下のトップ集団も軒並み好業績をあげた。
CRCソリューションズと昨年10月に合併した伊藤忠テクノソリューションズは、連結売上高が前年度比23.2%増の2943億円を達成。今年度は3000億円プレーヤーへの復帰を果たす見込みである。
日立情報システムズの昨年度の連結売上高は前年度比4%増の1835億円。M&Aも織り込みつつ、2010年度までの中期経営計画では売上高3000億円への成長を視野に入れる。日立ソフトウェアエンジニアリングと日立システムアンドサービスも業績を伸ばした。“日立系上場3社”を合算した売上規模は約4500億円に達し、存在感を高めている。
しかし、ビジネスモデルの転換に遅れたり、トップ集団から大きく遅れをとったSIerは新たな生き残りの道を探る。

販売系SIerではソフト・サービスへの転換が遅れ、ハードウェア単価の下落をカバーできなかったり、開発系SIerでは下請け体質で人材が育たない負のスパイラルから抜け出せないケースもみられる。情報サービス産業協会(JISA)会長への就任が内定しているNTTデータの浜口友一社長は、「業界全体のビジネスモデルの革新が急務」と指摘する。
自力でのトップ集団入りを断念したケースも出てきた。アルゴ21はキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)が実施している株式公開買い付け(TOB)に対して同意することを決めた。創業以来、独立系を標榜してきたが、「キープレーヤーとして存続する方策」(太田清史社長)としてキヤノンMJグループ入りを選択した。
キヤノンMJのITソリューション事業は昨年度(06年12月期)1418億円規模だが、将来的には3000億円に拡大させる方針である。ここ数年、同分野におけるM&Aを急ピッチで進めており、目論見通りに進めば3000億円プレーヤーがまた1社増えることになりそうだ。独立系SIerとして知名度が高いアルゴ21の大手傘下入りは、今後、SIerの再編意欲を刺激する可能性がある。