その他
システム検証サービス 需要拡大の兆しみせる
2007/07/16 14:53
週刊BCN 2007年07月16日vol.1195掲載
SIerのシステム検証サービスが拡大の兆しをみせている。開発したソフトウェアを第三者の目で品質チェックするサービスで、国内では主に組み込みソフトビジネスの分野で本格的に立ち上がりつつある。今後は一般企業などが使う業務システムの領域にも広がるとの見方が有力だ。検証サービスのビジネス拡大をいち早く察知し、事業拡大を狙うSIerが出てくるなど新規参入が増えることも予想される。(安藤章司●取材/文)
組み込みソフトで先行
■高い付加価値を生む分野
これまではソフト開発の一環として元請けのSIerが一括して検証を請け負う方式が主流だったが、ここにきて異変が起きた。製造業をメインターゲットとする組み込みソフト開発で第三者による検証サービスが本格化。大手の製造業などで用いられる品質保持の仕組みや考え方によく馴染むことなどが追い風になっている。
製造業では、設計、開発、品質の3つの部門がそれぞれ独立し、相互にチェックし合うことで“高品質”を実現するための取り組みがなされてきた。ソフトの開発をSIerなどに委託する際でも、この“相互けん制”作用の導入に前向きであることが検証サービス受け入れの背景にある。
SIerにとってもメリットは大きい。設計→開発→テストの主な工程のうち、近年では開発領域の付加価値が下がる傾向が続く。このため開発部分を中国などへオフショアに出したり、付加価値の高い設計分野に注力するなど収益確保に苦心してきた。それだけに検証サービスの需要の高まりは、新たな付加価値分野として注目を集めている。付加価値の向上はSIerの悲願でもあるだけに有力なビジネスチャンスになる可能性が大きい。
■全工程で検証の需要あり
組み込みソフト開発を事業の柱の1つにする大手SIerのシーイーシー(CEC)では、いち早く検証ビジネスに着手。2000年頃から右肩上がりで拡大してきた。昨年度(07年1月期)は約36億円のビジネス規模に成長。独自のサービスメニュー体系が整ってきたことから「PROVEQ(プロベック)」とサービス名称を新たにつけるほどの力の入れようだ。
設計工程以上に「総合的なノウハウが求められる付加価値の高い領域」(橋村清海・取締役PROVEQサービス本部本部長)であると検証サービスを位置づけ、ここで得たノウハウや検証体制を業務システムにも応用する計画を進めている。
3年後には既存の組み込み向けの検証サービスの拡大と合わせて100億円規模のビジネスに育てる計画だ。
また、テスト工程の検証だけでなく、「設計や開発など他の工程でも同様の第三者検証サービスの需要が高まる」と予測する。
情報処理推進機構(IPA)の「2007年度版組込みソフトウェア産業実態調査」によれば、製品出荷後に品質問題を起こす比率が30%以上と答えたメーカーが、この3年間で14%から27%へと2倍近く増えるなど悪化傾向にある。業務分野においても過去に大手金融機関や航空会社などの情報システムがトラブルを起こすたびに、ソフトの品質問題が取りざたされている。設計、開発、テストの全工程で第三者の目を入れることで、品質向上が期待される。
短期的にみれば品質管理にコストをかけることになるが、社会的影響が大きい工業製品や情報システムの場合、トータルでみればリスクやコストを削減することにつながる。
システムトラブルが起きるたびに、「頭を下げて謝罪するのは、いつもユーザーの社長」(日本情報システム・ユーザー協会の細川泰秀・専務理事)との指摘がある。ユーザーとベンダーが一体となった構造改革の一環として、検証サービスの需要拡大が見込まれる。
SIerのシステム検証サービスが拡大の兆しをみせている。開発したソフトウェアを第三者の目で品質チェックするサービスで、国内では主に組み込みソフトビジネスの分野で本格的に立ち上がりつつある。今後は一般企業などが使う業務システムの領域にも広がるとの見方が有力だ。検証サービスのビジネス拡大をいち早く察知し、事業拡大を狙うSIerが出てくるなど新規参入が増えることも予想される。(安藤章司●取材/文)
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