その他
富士通 C/S環境のWeb化を加速 業界初、「Ajax」ツールで
2007/10/01 21:10
週刊BCN 2007年10月01日vol.1205掲載
富士通(黒川博昭社長)は、画面遷移を伴わず動的なWebアプリケーションを構築する技術「Ajax」を活用して、企業システムを効率的にWeb化できる開発支援ツールを開発、販売を開始した。クライアント・サーバー(C/S)型で構築した業務アプリケーションを、運用の容易さなどからWebベースに刷新する動きが加速。C/S環境などから、業務アプリケーションをWebベースへ移行を目指す企業システムを構築するSIerや、既存の業務アプリケーションに組み込むことを促すためISVなどへ売り込む。(谷畑良胤(本紙編集長)●取材/文)
サーバー販売の命運を握るか
■高度な知識不要のAjax開発
今回発売した開発支援ツールは、6月発売のAjax開発を効率化する製品「Interstage Interaction Manager(IIM)」の新版。新たに画面やデータを扱うUI部品を再利用でき、Ajaxの特長である「非同期通信」を実現する部品を提供する。同社が実際のソフト開発で長年蓄積した技術とノウハウをベースに「クライアントフレームワーク」と「通信フレームワーク」で構成。「メインフレームの業務アプリケーションの7割を同ツールでWebアプリケーション化できるほどの性能を発揮する」(広田勉・プロジェクト部長)と、業界初の製品として特許を出願した。
最近は、C/S型で構築した業務アプリケーションを刷新し、運用の容易性の高いWebベースへ移行する検討が活発化している。ユーザー企業が求めるWebアプリケーションはC/S型並みの「リッチクライアント」で、その解決手段として「Googleマップ」などで利用されているAjaxが台頭した。ただ、従来のAjax開発では、HTTP非同期通信などに関する高度な知識が求められ、長時間を要するスクラッチ開発が必要となり、企業システムへの適用に不向きとされてきた。
この課題を解決するためIIMでは、「画面表示用」と「機能用」に分けたUI部品を提供。スプレッドシートなどの画面表示用部品やファンクションキー制御などの機能用部品を再利用して組み合わせて開発すれば、「JavaScript」の開発量を大幅に削減でき、「コーディング(ソフト設計図のソースコード作成)作業の6割は減る」(広田部長)という。例えば、郵便番号の入力画面をWeb化するには、「JavaScript」コードを約240行も記述する必要があったが、IIMを使えば4つの部品タグ宣言と3行のコードで実現できるという。
仮に、オフコンを利用する企業が、オフコンUI「エミュレータ」などファンクションキーだけで作業をしていた利用者の「使いやすさ」をそのままに、Ajax開発でWebアプリケーションへ移行したい場合でも、違和感なくシステム移行できる。C/S型の業務アプリケーションを家電量販店で購入し、パソコンとサーバーで利用する企業でも、Ajax開発で短期間にWeb化でき、これまで通り、サーバー側にアップデートするデータ作業をすることができる。
■サーバー撤去に動く!?
同社は、グループ内のSE子会社やC/S環境でシステム利用をするユーザー企業を多数抱えるSIerなどへ売り込み、「当初は、C/S型からの移行をターゲットに市場を開拓する」(広田部長)。同社によれば、C/S環境で業務アプリケーションを利用する企業のうち、2割はWeb化への移行を検討しているという。加えて、ISVへも働きかけ、既存製品との連携を提案する。
今年度中にも自社データセンターで開始する「SaaS事業」では、SaaS型で提供する業務アプリケーションの配信方法の1つとしてIIMが採用することを検討している。
この開発支援ツールで富士通の既存顧客にあるC/S環境のフロントシステムを次々にWeb化されたら、ユーザー企業が次に考えるのは、運用コストを削減するために自社配置していた基幹サーバーの撤去である。サーバーは同社のデータセンターへ預けるか、データセンターのサーバーを借り、SaaS型などで運用することに向かう。この傾向が強まれば、サーバー販売を減速させるほど、このツールはインパクトがある。富士通は、「アウトソーシング事業」を急速に強化。機器販売で収益を上げるビジネスモデルを本格的に転換させる時期にきていることを窺わせる。
富士通(黒川博昭社長)は、画面遷移を伴わず動的なWebアプリケーションを構築する技術「Ajax」を活用して、企業システムを効率的にWeb化できる開発支援ツールを開発、販売を開始した。クライアント・サーバー(C/S)型で構築した業務アプリケーションを、運用の容易さなどからWebベースに刷新する動きが加速。C/S環境などから、業務アプリケーションをWebベースへ移行を目指す企業システムを構築するSIerや、既存の業務アプリケーションに組み込むことを促すためISVなどへ売り込む。(谷畑良胤(本紙編集長)●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…