ブレード販売に2極化の波

　ブレード型サーバーの販売の仕方が2極化しているようだ。

　ひとつの売り方は、ブレードがサーバーの「統合化」や「仮想化」を可能にする点から、統合管理や仮想化OSなどのソフトウェア、アプリケーション、ストレージ機器などを組み合わせて提供するというもの。自社アプリケーションが武器のSIerや、HPC（ハイパフォーマンスコンピューティング）システム構築が得意のSIerなどが積極的にビジネスとして手がけている。もうひとつは、タワー型やラックマウント型と同様、リプレース時に買い替えを促すだけの“箱売り”だ。

　ブレード型は、PCサーバー市場のなかで市場規模がまだ小さい。しかし、今後は伸びるとの見方が強いため、メーカー各社は相次ぎ新製品を発売している。最近では、「SMB（中堅・中小企業）向け」や「中小規模システム向け」などと銘打ったモデルの市場投入も進めており、需要のすそ野を広げようと懸命だ。

　PCサーバー市場は、とくにタワー型の需要が鈍化している状況にあり、ブレード型の販売で挽回を図ろうとしているのは理解できる。しかし、メーカーを含めて販売代理店側のSIerやディストリビュータなども「売れる商材だから」という考えだけで販売しているのでは、ビジネスは行き詰まるだろう。

　というのも、ほかのPCサーバーと比べて売り切ればそれでおしまいという製品ではないからだ。

　ブレード関連ビジネスを拡大するうえで中核になってくるのは「エンクロージャ」や「シャーシ」などと呼ばれている筐体の提供。ユーザー企業に対する初期導入の段階では1─2台のサーバーであっても、筐体を導入しておけば時間の経過とともにサーバーを追加する可能性は高い。しかし、ブレード関連の製品・サービスを提供していなければ、タワー型やラックマウント型を提供しているのと変わらないのではないか。ユーザー企業にとっても、タワー型やラックマウント型よりも高価なブレード型を導入するメリットはないことになる。

　もちろん、現段階でサーバー統合化や仮想化などを検討していないユーザー企業がブレード型を導入するとは考えにくい。しかし、将来的に統合化や仮想化を意識しているのであれば、ベンダー側の提案に飛びつくケースがないとはいえない。そうしたユーザー企業に対して、タワー型やラックマウント型の置き換えといった感覚で販売しているのであれば、「仮想環境にしたい」とユーザー企業が依頼してきた際にトラブルになりかねない。つまり、ブレード型サーバーというのは決して手離れがよい製品ではなく、ほかの製品と組み合わせたソリューションビジネスが、手がけられるかどうかがカギになるということだ。

　実際、SIerがUNIXサーバーなどで培った仮想化のノウハウを生かし、他社が真似のできないシステムを提案しているケースも多い。それだけではなく、従来はPCサーバーの販売にそれほど力を入れていなかったベンダーがブレード関連ビジネスを手がける傾向も高まっているようだ。ブレード普及期に入りつつあるなか、販売の仕方が“量より質”を問われる時代に突入したといえよう。