その他
マイクロソフト 中計で「堅実・着実・確実」強調 企業向け事業は“上”から!?
2008/07/14 21:10
週刊BCN 2008年07月14日vol.1243掲載
マイクロソフト(樋口泰行社長)は7月1日、3か年の中期経営計画を発表した。前中計「PLAN-J」のような華やかさはないものの、「地に足のついた」堅実・着実な内容となっている。樋口社長がマイクロソフトに移籍してからおよそ1年4か月。立案した計画について、主に企業向け事業にフォーカスしながら経営姿勢と組織・人事、販売戦略を探ってみた。(木村剛士●取材/文)
旧知の仲間迎え、磐石の布陣で
■計画は既存戦略の強化 企業向け事業が最優先
「地に足のついた革新による確実な成長軌道の実現」。樋口泰行社長は今年度(2009年6月期)期首日の7月1日、経営方針発表会でこう切り出している。この言葉が表す通り、今回の計画、新味ある施策や新たなトピックはほとんどない。いわば既定路線の踏襲。社長として中期経営計画を語るのは今回が初めてだが、07年3月に代表執行役兼COOに就き、今年4月1日には現職に就任した。それだけに経営方針は披露済みという感覚か、「今進めている方針、戦略にドライブをかける」(樋口社長)姿勢を強く印象付けた格好だ。もともと「着実・確実・堅実」をモットーとする「樋口社長らしい」発表だった。
目新しさはないが、そのなかでも、中期経営方針として定めた6項目のうち、最初に挙げたのが「企業IT市場における“ソリューションビジネス”の拡大」だった。元EMIミュージック・ジャパン社長兼CEOの堂山昌司氏を招き入れ、テコ入れが急務な「コンシューマ&オンライン事業」より先に、企業向けビジネスについて言及している。「単純に製品を開発して、それを売るだけではダメ。ソフト・サービスをもとにユーザー企業の悩みを解決するソリューションを、パートナーとともに販売する体制が求められている」(樋口社長)。
企業向け事業強化にあたり、事業推進の姿勢として、パートナーとの結びつきを強めることと、営業とマーケティングの部門間連携を挙げた。樋口社長は前社長との差異について問われた際、「私が日本人ということもあるが、パートナーとの関係をもっと強固にできるだろう」と説明。部門間連携については、「営業に直結するマーケティングの強化」と銘打ち、マーケティング機能のレベルアップを強調した。実際、同社のマーケティング担当からは「PRなどに使える予算が従来以上に厳しく精査されている」と語る。
■企業向け事業の舵取り役 幹部は気脈通じた人物で
組織・人事面でも体制を整えた。大企業向け事業の「エンタープライズビジネス」担当執行役に平野拓也氏を専任で置き、中堅・中小企業(SMB)向け事業「ゼネラルビジネス」担当執行役に窪田大介氏を配置した。「人を増やす」と組織増強を樋口社長が明言している「エンタープライズサービス」担当には、鳴坂仁志氏に任せる布陣を敷いた。窪田氏と鳴坂氏は日本ヒューレット・パッカード(日本HP)出身。樋口社長は日本HP在籍時に苦楽をともにしたメンバーを、自身がマイクロソフトのトップに就任する前に入社させている。
平野氏は販売戦略についてこう語る。「特定の大企業ユーザーには従来以上に深くつき合いたい。300-400社の顧客を戦略的ターゲットに選定し、彼らに向けて徹底的に営業し、複数のマイクロソフト製品を使ってもらえるようにする」。一方、窪田氏は「中堅・中小企業のなかでもまずは中堅企業にアプローチする」と説明。SMB部門のうち、規模の大きいユーザーから攻める方針を示唆している。続けて、パートナー戦略については「パートナーのマイクロソフトに対する評判がこれだけ悪いとは思わなかった。信用力がない点と、パートナーが当社製品を販売してもインセンティブがあまり得られないことが問題だろう。販売額に対する利益分配の仕組みを変える必要性も感じている」と指摘し、改善を検討している。
マイクロソフトに移籍して1年4か月、着々と準備を進め満を持してスタートした樋口新体制。堅実・着実・確実に成長できるか。コンシューマ事業の改革も注目点だが、企業向けビジネスにおける最初の試金石は、大・中堅企業ビジネスとパートナーの評価にありそうだ。
マイクロソフト(樋口泰行社長)は7月1日、3か年の中期経営計画を発表した。前中計「PLAN-J」のような華やかさはないものの、「地に足のついた」堅実・着実な内容となっている。樋口社長がマイクロソフトに移籍してからおよそ1年4か月。立案した計画について、主に企業向け事業にフォーカスしながら経営姿勢と組織・人事、販売戦略を探ってみた。(木村剛士●取材/文)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…