「Security Solution(セキュリティソリューション)2008」(日経BP社主催)が8月20-22日の3日間、東京ビッグサイトで開催された。「エンタープライズ・リスク・マネジメント2008」を同時開催。昨年から各社が力を入れるDLP(情報漏えい対策)を「ホットスペース」に展示した。各社の動向が注目されるが、残念ながら夏という季節的な影響を受けてしまったようだ。開催2日目の場内の様子をレポートする。(鍋島蓉子●取材/文)
出展者、来場者ともに減少

昨年は10月に「セキュリティソリューション 2007」とともに「eドキュメントJAPAN 2007」「Biz Innovation 2007」「IPコミュニケーション&モバイル2007」「ビジュアル・コミュニケーション2007」の4つのイベントも同時開催。出展社約160社、3日間合計で2万7886人が来場したという。今年は秋から夏に開催時期を変更し、「エンタープライズ・リスク・マネジメント2008」が新しい展示会として同時開催された。
展示場スペースに向かう途中、通路で目を引いたのは、いくつも立ち並ぶマクニカネットワークスの広告だった。「SafeBootはMcAfee Endpoint Encryptionになりました」。5月の情報セキュリティEXPOに引き続いての、大がかりな宣伝手法だ。マカフィーは昨年、情報漏えい対策製品の機能を強化するため暗号化ツールのSafeBootを買収し、自社の製品ラインアップに組み入れている。
基調講演では吉野家ホールディングスの安部修二社長、帝人の片山隆之副社長 CSRO、東京証券取引所の鈴木義伯常務取締役が登壇。特別講演では、東国原英夫・宮崎県知事のインタビューもビデオ上映された。また韓国パビリオン、台湾パビリオンと、海外ベンダーの展示ゾーンを設置したのも特徴の一つだ。
初日、2日目とも天候に恵まれたものの、前のセキュリティ関連展示会から間がないせいか、セキュリティの展示会でよく見る企業の姿が何社か見えない。最終日は2日目と打って変わって大勢の人が訪れたが、来場者2万497人という結果だった。また、出展社は116社と昨年より40社ほど少なかった。
目立つブースで集客、盛況<

出展社の中には集客が「例年と同じくらい」と答える企業もあったが、「少ない印象」という感想がとても多かった。一方、ある出展社の説明員は「初日は2日目より多かったと思う。最終日はもっと人が集まるのではないか」と期待を込めていた。
そんななか、入場してすぐ、前面に電光掲示板を使った比較的大規模なブースがあった。場内でひときわ目立つこのブースはSky(大浦淳司社長)のもの。
Skyのブースではクライアント運用管理ソフトウェア「SKYSEA Client View Ver3.3」を展示。デモも交えた説明を行っていた。入場口の目の前という好立地が手伝ってか、来場者の入りもよく、ブース内でのセミナーは、立ち見が出るほど盛況だった。同社のICTソリューション事業部販促企画部の金井孝三部長は「販社に対して営業活動を行っての販売網整備も重要だが、それだけでなく、エンドユーザーからの発注があってはじめて製品がスムーズに流れていく。エンドユーザーの認知度を高め、指名してもらうためにも、展示会は重要」と意気込んでいた。
主催者企画はDLP展示<

特設ゾーンは「セキュリティマネジメント」「ネットワークセキュリティ」「情報漏えい対策」「メッセージングセキュリティ」の4ゾーン。また、主催者企画として「セキュリティ・オープン・ラボ」が設けられた。昨年の同展では「シン・クライアント・ホットステージ」だったものだが、今年はセキュリティ各社が力を入れている「DLP(Data Loss Prevention=情報漏えい対策)」をテーマに9社が展示を行っている。
「セキュリティ・オープン・ラボ シアター」と名づけられたセミナースペースでは、DLPソリューションを展示している各社が交互に情報漏えい対策について講演を行っていて、来場者は真剣に耳を傾けていた。
情報漏えい対策製品などを手がけるソフォス(アラン・ブロデリック社長)はDLP展示スペースのすぐ近くに出展。同社もSkyと同じく、入場口近くのスペースに陣取っている。マーケティングスペシャリストの中川雅子氏も「今年は夏になってしまったので、お休みに入っている人も多く、来場者は少ない」と感じる一方で、「DLPについて聞くためにお客さんがブースを訪れている」と一定の手応えを感じている様子だ。
製品をアピールし、エンドユーザーとの接点を提供する場としてイベントは重要な位置付けにある。諸般の事情のためか、来年も開催は夏の予定だが、次回は猛暑を避けて再び秋に開催してもらいたいものだ。
