新たなパッケージや保険付ソフトも
今年もセキュリティソフトが続々と発売されている。セキュリティソフトには、以前から「重い」などの不満の声もあったが、パフォーマンス向上を図っている。
シマンテックでは、独特な販促戦略が目につく。昨年は「ノートン・ファイター」のようなキャラクターを生み出した。今年はタレントの中川翔子さんをイメージキャラクターとして起用すると発表した。また、機能面ではPCに負荷を与えない「ゼロインパクト」を目指す。
新機能であるノートンインサイトでは「高速化」を追求。同社独自の振る舞い検知技術「Soner」など、いくつかの技術を組み合わせ、リスクのあるファイルのみをスキャン対象にすることでパフォーマンスを向上させた。
5─15分間隔で定義ファイルなどの更新を行う「パルス・アップデート」などの新技術のほか、エンジンからユーザー・インタフェースまで300か所以上にわたり改良しているという。また、インストール時間の短縮やメモリ使用率の大幅削減も図った。さらに、フィッシングのようなウェブ上の脅威に対応するための機能として、ウェブサイトで使用するID、パスワードを管理する「IDセーフ」も強化している。
一方のトレンドマイクロでも、同様にPCに対する負荷の改善をアピールした。同社では、メモリ使用量を削減したほか、ゲームやDVDを全画面で鑑賞している場合はポップアップやスキャンをキャンセルし、次のタイミングにする「サイレントモード」、レジストリクリーニングを行う「システムチューナー」などの機能を新搭載した。また、同社のウェブレピュテーション技術を使った対策の強化、キーロガー対策のための「キー入力暗号化」といったウェブからの脅威に対応する機能も増やした。
トレンドマイクロでは、通常版の販売に加え、トラブル発生時のサポートと、サポート契約期間中のクレジットカードの不正利用による被害を年間最高100万円まで補償する保険を付加したパッケージを発売した。
両社ともに多彩な機能と包括的なセキュリティを実現しているようだが、負荷の軽減を技術的に徹底追求したシマンテックを選ぶか、負荷軽減もさることながらサポート&保険付きで「安心」を前面に押し出したトレンドマイクロを選ぶか、消費者の判断は分かれそうだ。
その両社を横目にするソースネクストでは、従来のCDメディアから離れ、UMPC(ウルトラモバイルPC)のようなディスクドライブ非搭載の端末に対して、USBメモリに収録した製品「Uメモ」シリーズを展開する。この「Uメモ」戦略について、競合するトレンドマイクロでは「トータルでUMPCのユーザーにも使えるような検討をしたい」と述べ、また、大三川彰彦取締役 日本地域担当 グローバルコンシューマビジネスジェネラルマネージャは「メディアを変えることはできる。また、ISPやNTTとの提携など、(提供方法には)いくつか手段はある」と話す。
UMPC市場が盛り上がりを見せているなか、新たなパッケージ戦略も生まれつつある。今年もセキュリティ対策市場は話題が尽きない。(鍋島蓉子●取材/文)