その他
IPv4枯渇に対応できるか!? 通信業界 タスクフォース設立
2008/09/22 14:53
週刊BCN 2008年09月22日vol.1252掲載
通信業界の関連団体を中心に「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」が発足された。単に、IPv4の枯渇対応だけに集中するのではなく、IPv6の普及も含めた取り組みだ。なかでも、キーになるのが他業界の参加という。IPといえば、ITシステムにも関連してくることから情報サービス業界との連携も視野に入れており、SIerの参加を促していく。果たして、IP関連で“似て非なる”両業界の協調は実現するのか。(佐相彰彦●取材/文)
SIerの参加促進がカギ握る
■リスク対応が参加促進の理由
「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」の参加メンバーは、IPv6普及・推進協議会をはじめとして、インターネット協会(IA japan)や情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)など13団体。ほとんどの参加団体は、通信業界関連である。総務省の協力のもとに発足されたタスクフォースであるためともいえるが、そのタスクフォースがミッションとして掲げるなかに、「ステークホルダー間の同期・協調した対応が必須」という項目がある。
ここで表現している「ステークホルダー」とは、IPアドレスをベースに、サービスを受けている法人/個人ユーザーやビジネスを手がけるベンダーなどを指している。最近は、SIerがIPネットワークを絡めた製品・サービスを提供するケースがある。となれば、情報サービス業界にも協力を請うというのがタスクフォースの考え。IPv6普及・高度化推進協議会の江崎浩・専務理事(東京大学大学院情報理工学系研究科教授)は、「リスク対応しなければ、少なからずビジネスに影響する危険性が高い。情報サービス関連団体に参加を促していくほか、セミナーなどで呼びかける」としている。第一弾として10月6日にセミナー開催を予定しており、参加者に現状と課題を訴えていく。同協議会の荒野高志・常務理事(インテック・ネットコア社長)も、「今まで、あまり関わりがなかったセグメントへのリーチ」とアピールしており、SIerが対象と位置づけている。
■メリットを見い出すのが先決
このタスクフォースが立ち上がったのは、IPv4の枯渇に加えてIPv6が予想に反して普及していないことが背景にある。IPv6普及・高度化推進協議会の村井純・会長(慶応義塾大学環境情報学部教授は、「今回、タスクフォースが立ち上がったことでIPv4枯渇への対応はもちろんだが、IPv6の普及に向けて日本の役割をきちんと果たさなければならないと再認識した。そういった点で、武者震いがする」と意気込んでいる。IPv6普及を加速することは、ネットワーク機器など通信関連だけの課題ではない。サーバーなどコンピュータサイドも考えなければならないということだ。SIerの参加を促しているのは、業界の分け隔てなく対応していくことの必要性を説いていることになる。
とはいえ、これまで通信業界を中心に議論してきたIPアドレスの話題を、SIerがタスクフォースに参加してまで進めるメリットはあるのか。これについては、誰も明確な答えを出していない。むしろ、「リスク」を強調している感がある。また、別の観点からいえば、情報サービス業界にアプローチすることになれば、経済産業省にも協力を請うのかという疑問も生じる。そういった点では、総務省がIPを通じて経済産業省を抱き込む狙いがあるようにも見える。
確かに、IPアドレスが枯渇したり、新しいIPアドレスに対応した製品やサービスを提供したりすることはビジネスを活性化するかもしれない。タスクフォース参加という点では、まずSIerがビジネスに直結したメリットを見い出すことが先決といえよう。
通信業界の関連団体を中心に「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」が発足された。単に、IPv4の枯渇対応だけに集中するのではなく、IPv6の普及も含めた取り組みだ。なかでも、キーになるのが他業界の参加という。IPといえば、ITシステムにも関連してくることから情報サービス業界との連携も視野に入れており、SIerの参加を促していく。果たして、IP関連で“似て非なる”両業界の協調は実現するのか。(佐相彰彦●取材/文)
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