その他
レノボ 初のインターンシップ実施 会社のすべてを知る機会提供
2008/09/29 21:10
週刊BCN 2008年09月29日vol.1253掲載
レノボジャパン(天野総太郎社長)は、就業型のインターンシップを2-4週間にわたり、神奈川県の大和研究所で実施した。インターンシップを行うのは同社初となる。学生が実社会を学ぶ場を提供するのは当然として、レノボ自身を学生に知ってもらう機会、また、レノボの若手エンジニアの育成なども目的に含まれているという。(鍋島蓉子●取材/文)
■「お客さん」扱いはしない 学生生活の過ごし方変える
インターンシップを企画したのは今年5月で、新卒採用が終了し、一段落ついた頃に募集を開始した。同社が新卒採用を始めて3年目にあたる。「新卒採用でも、他社でインターンシップを体験している学生はキャリア形成ができていて、仕事に対する意識も高かった」(人事の春日聡子主任)ことが、自社でも実施するきっかけとなった。
同社はグローバル企業であることから、国籍を問わず日本に留学している学生に広く門戸を開いた結果、日本、スリランカ、マレーシア、ベトナム、台湾の学生9人が参加した。参加者は機構設計、電気設計、ソフトウェア開発など、応募する際に希望職種を選ぶことができる。実施する就業体験プログラムは、各部署の所属長が決めた。
日本でのインターンシップであるものの、グローバル規模での就業体験につながっている。「本気で働きたい人にとっては絶好の機会」(春日主任)なのだ。ただ、たった2週間ではスキルが大幅に向上するわけではないのも事実。学生にとっては就業体験をすることで、その後の学生生活の過ごし方が変わってくるほか、「自分たちが今後志望する会社に対する評価基準も身に付くことでしょう」(同)とそのメリットを挙げる。
期間中は各職種の配属先でそれぞれ実際の研究開発業務に従事して実習するだけでなく、学生に三つの目標を立ててもらっている。「レノボを理解する」という目標を挙げる学生も多いそうだ。 インターンシップではオープン・コミュニケーションが原則だ。
例えばソフトウェア開発関連の学生がデザイン担当者と話したいという場合にその機会を設ける「ワン・オー・ワン」や、副社長を囲んだ「ラウンドテーブル」は、すべて学生自身の発案で実現したものだという。実際に所属長として学生を受け入れた、研究・開発 TVT・ノートブック ソフトウェア開発 第一TVT開発の森英俊課長は「決して『お客さん』扱いはしなかった。やる気があり、積極的な学生が非常に多い。短期間のためスキル面で大きく成長することは難しいが、その後でも自ら積極的に成長していこうとする姿勢や、心構えは伝えることができたと思う」と語る。
■包み隠さず「知ってもらう」 レノボの若手育成にもメリット
人材確保に有効な一手ではあるが、レノボはインターンシップによって青田買いをする意図はないとしている。実際に就業体験をした学生も、全員がレノボ志望というわけではなかったようだ。では、レノボにとってインターンシップを行うメリットはどこにあるのか。「一つは、最大の口コミ手段になるということ。レノボはグローバル企業で、米国の会社ですが、まだ中国の会社と思われている節がある。実際に体験して、『レノボファン』になってもらうことで宣伝してもらえれば」(春日主任)。また、インターンの学生はレノボの中にない新鮮な視点を持っていることもメリットだ。
さらには同社の若手エンジニア育成にも役立つこと。「インターンの学生一人ひとりに若手や中堅のエンジニアを『メンター』としてつける。このように指導する側になることを通して、若手を育成する狙いがあります」(春日主任)。学生は三つの目標のほかに一日ごとの目標も別途立てる。一日の終わりに目標に対して自分で点数評価をし、その感想を所属長に送る。それに対して、所属長がフィードバックする際に「メンター」に対しても指導を行うのだ。「一から十まで学生に指示することはありません。実際の仕事もそうですが、自分で解決策を導き出す必要があります。かといってずっと一人ではなく、ときどき迷い過ぎたらフォローをいれ、軌道修正することもありました」(森課長)。
今回のインターンシップを同社自身に評価してもらった。「90点。学生と充実した交流ができましたし、また学生同士のネットワークも築けたと思います」と春日主任。
森課長はインターンシップについてこう語る。「勇気がいることだと思います。企業説明会なら見せたくない部分を覆い隠せますから。でも2週間在籍して実際の仕事をするとなると、隠しようがない」。リスクも認めつつもメリットを感じているようだ。
ただ2週間は短かったと感想をもらす。「3-4日目で会社に慣れて、2週間目の頭で波に乗ってくる時期。課題は達成したものの、次の課題も見えていたので『あと1週間あれば』と学生たちはフラストレーションを感じたかもしれない」(森課長)。次回は1年目の結果を総括したうえで期間やプログラムを見直していくそうだ。
レノボジャパン(天野総太郎社長)は、就業型のインターンシップを2-4週間にわたり、神奈川県の大和研究所で実施した。インターンシップを行うのは同社初となる。学生が実社会を学ぶ場を提供するのは当然として、レノボ自身を学生に知ってもらう機会、また、レノボの若手エンジニアの育成なども目的に含まれているという。(鍋島蓉子●取材/文)
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