プリンタ 曇り
出荷は横ばいもサプライ心配 “箱売り”脱却がカギ
IT業界が活況に沸いたここ数年ですら、プリンタ業界の国内出荷実績は年成長率が微増で低調のままだった。追い打ちをかけるように「世界同時不況」。プリンタ会社社長のほとんどが2009年は「マイナス成長」と口を揃えている。
ユーザー企業の多くに全社的なコスト削減の一環として、カラー印刷を中心に全体の印刷枚数を抑制する動きが顕著になってきた。このため、これまで収益を下支えしてきた用紙やトナーなどサプライ品の需要も低迷することが懸念されている。
ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)によると、08年上半期(1~6月)の国内出荷実績は、モノクロ複写機・複合機が前年比10%減、カラー複写機・複合機が同11.2%増、ページプリンタが3.9%減となった。
一部に需要増が見られるものの全体としては、微増となった。さらに仔細に見ると、「リーマンショック」と前後して減少幅が大きくなっている。プリンタ各社は「09年にこの傾向が続けば『雨』だが、全体としては横ばいの『曇り』」という判断だ。
富士ゼロックスの山本忠人社長は「不況下でもIT投資をする企業はある。ただし、“箱売り”のままでは生き残れない」と、ストック型のビジネスにする必要性を認識している。エプソン販売の平野精一社長は「プリンタ出荷台数はほぼ前年並であろう。ただ、サプライは期待薄」と、厳しい環境が続くとコメントする。
各プリンタメーカーと販売会社は、機器販売に頼らずドキュメントに関連した「ソリューション販売」に目を向け始め、09年より2010年以降の収益改善を目指す。(谷畑良胤●取材/文)
