日本ビジネスコンピューター(JBCC、山本健治社長)がERP事業で攻勢をかける。既存ERPに加えてSAPジャパンのERPを新たに販売する方向で最終調整しており、扱うERPを(1)「EnterpriseVision」(自社製品)(2)「SuperStream」(SSJ)(3)「SMILE BS」(OSK)(4)「SAP Business All-in-One」(SAPジャパン)の4製品に拡充しようとしている。ERP市場をユーザー企業の年商別に区分し、それぞれの市場に向けて各ERPを使い分ける。この戦略で狙うのは、オープン系システムを使う年商150億円以下の中小企業と、年商300億円以上の大企業。中堅・中小企業(SMB)に強い有力SIerがERP事業のターゲットを広げる動きを見せ始めた。
新たにSAP担ぎOSKを強化
日本IBMの有力販社でSMBに強いSIer、JBCCがパッケージベースのERP事業に本格進出したのは約4年前。基幹システム開発はそれまでスクラッチ(手組み)を中心に約2000社手がけてきた。スクラッチ開発体制を2002年に見直して自社開発ERP「EnterpriseVison(EV)」をリリースしたほか、2年ほど前からはSSJ製品の取り扱いを開始。一部案件で自社・他社問わずパッケージベースに舵を切った。「EV」はほとんどが直販。実績はライセンス数が約300、導入企業数は約200社だ。ERPのライセンスと関連SIの合計売上高は04年度(05年3月期)に比べて今年度は4倍増とさせる計画をもっている。
今回の強化戦略は、これまで手薄だった市場にアプローチするため。これまで自社製品とSSJ製品を使い、日本IBMの「System i5」システムを使う年商10億円以上400億円未満の中堅企業をメインとしてきた。ERP事業を伸ばすためには、「既存マーケットに加えて、中小企業と大手企業もターゲットにする必要がある」(市川国昭取締役上級執行役員ERP事業部長)。そのためには、現在取り扱うERPだけでは不十分と判断した。

既存領域は従来通り、自社製品とSSJ製品で攻め、年商10億円以上150億円未満の中小企業にはOSKの「SMILE BS」を主軸に据える。一方、年商300億円以上の大企業には、SAPジャパンの「SAP Business All-in-One」を新たに販売する方針を固め、SAPジャパンと最終調整に入っている。早ければ2月上旬にも発表される見込みだ。市川取締役は、SAP製品を選んだ理由について「年商300億円以上の企業は、基本的に多言語・多通貨対応が必須。そうなると、SAP、マイクロソフト、オラクル製品しかない。実績と各業種にきめ細かく設定されたテンプレート数をみてSAPを選んだ」と説明している。
SAP製品拡販のために、JBCCでは早くも導入技術に長けたコンサルタントの育成に着手しており、来年度第1四半期までに10人育成する計画。コンサルタント育成には教育費用もかかり、「かなり思い切った決断」と市川取締役は話す。
JBCCは年商1000億円規模のSIerとしてはパッケージベースのERP事業は多少手薄だった感が否めない。今回ターゲット領域の拡充という施策で攻めに出る。(木村剛士)