リセラーに手厚い営業組織も

レノボ・ジャパンは支援制度を刷新して販売代理店との協業強化に踏み切った。「ThinkPad」がレノボブランドとなって以来、“パートナー離れ”が進みつつあるとの見方が強かった同社だが、はたして今回の新制度で販売代理店の売る意欲は高まるのか。
レノボ・ジャパンが打ち出した支援制度は、代理店が販売しやすい環境を整え、競合メーカーよりもインセンティブを高く設定しているのが特徴だ。「Lenovoゴールド・リセラー」に位置づけられる販売代理店の条件は、四半期の仕入台数が100台以上、「Lenovoシルバー・リセラー」が同50台以上、「Lenovoリセラー」が同50台未満などとなる。パソコンの販売奨励金に関しては、目標達成率が100%ならば、「ゴールド」には1台あたり1000円、「シルバー」には750円など。「ゴールド」では達成率80%から奨励金を支給するほか、サーバーの販売では2倍の奨励金を支給するとしている。
営業組織面では、販売代理店をバックアップする体制を強化。ディストリビュータを支援する「ディストリビューター・セールス営業部」のほか、地域ごとに「東日本リセラー営業部」「西日本リセラー営業部」などを設置している。電話などでのサポートも拡充し、営業組織全体で昨年度と比べて1.5倍程度の人員に増強している。製品仕入れ価格については、最大で35%安くするなど大幅な改定を実施。留目真伸・執行役員COOは、「ビジネスを一気に拡大させる基盤を整備した」と鼻を高くする。
同社が販売代理店への支援を手厚くしたのは、日本IBMからパソコン事業を継承してからというもの、販売代理店経由のビジネスが予想に反して軌道に乗らなかったからにほかならない。「当社側から魅力ある支援プログラムを提供してこなかったため」と認めており、「レノボ製品で実現できるソリューションを創造し、需要を喚起していきたい」考えだ。サーバーを市場投入したことから、今後は販売代理店がサーバーを中心にパソコンを組み合わせたシステム提案で案件を獲得できるような体制を構築しなければならないということだ。
ただ、販売代理店が奨励金の改定でハードビジネスを強化するかどうかは疑問が残る。最近では、パソコンやサーバーの売価が激しく下がっていることから、ハードビジネスでは利益を確保できないとの見方が強まっているからだ。販売代理店は、自社全体のハード販売ボリュームと奨励金を照らし合わせて利益を確保できるかを試算することになる。(佐相彰彦)