SIerのシーイーシー(CEC、新野和幸社長)は、経営資源を四つの分野に集約する。これまでおよそ10あった事業本部を2月1日付で4分野に集約。データセンター(DC)サービスや自社プロダクト、第三者検証サービスなどを軸に、自らの強みを重点的に伸ばす戦略に出る。製造業向けの売上高比率が約半分を占める同社は、リーマン・ショック以降の製造業不振の直撃を受けた。自らの特徴が出しにくい受託ソフト開発の比重を下げ、強みを生かせる分野を前面に押し出すことで業績回復を目指す。
DC売り上げを倍増へ
CECが集約するのは、DCやITマネジメントサービスなどの「PROFESSIONAL(プロフェッショナル)」、独自プロダクトをベースとする「PROSES(プロセス)」、第三者検証サービスの「PROVEQ(プロベック)」、受託ソフト開発やSIの「PROGRESS(プログレス)」の4事業分野。事業名に「PRO」を冠して統一することにより、4分野の一体感を強める。
具体的には、製造一般や自動車、金融など業種・業態や、地域別に分かれていた受託ソフト開発を一本化。二つに分かれていたDCとITマネジメントサービスも統合する。ややもすれば部門間の相乗効果が出しにくかった古い組織を、今回の再編で根本的に変える。「4分野が融合して相乗効果を出しやすい」(新野社長)仕組みにする。例えば、受託ソフトやSIと、DCサービスを一体的に提案したり、独自プロダクトとITサービスを組み合わせるなど、複合的な提案力を大幅に強化する。
CECの今年度(2009年1月期)は、ユーザー企業のIT投資抑制の荒波に揉まれ続けた。なかでも落ち込みが激しかったのは、最大セグメントの受託ソフト開発事業で、今期は前年度比で32%減の見込み。業績見通しの下方修正は昨年末までに計3度行った。一方で、DC事業は堅調に伸びている。同社では、期の途中でDCを活用したITサービスなどへ大きく舵を切ったものの「受託ソフトの減少を補い切れなかった」(新野社長)と振り返る。
こうした反省を踏まえて、10年度(11年1月期)はITサービス分野を重点的に強化。底堅い需要があるDCビジネス単体の今期売上高は約50億円の見込みだが、向こう3年間で100億円に倍増させる。クラウド/SaaS型の商材の拡充や、DCをベースとしたクラウド型のSIを組み合わせれば、ビジネス規模はさらに増えることが期待される。
10年度は、傘下の双日システムズの株式を09年11月、双日本体に譲渡したことなどから連結売上高が400億円まで減る見通し。だが、経営資源の4分野への集約によって競争力を高め、12年度には連結売上高450億円、営業利益20億円に回復させると意気込む。(安藤章司)