NEC(矢野薫社長)は、クラウド時代に適したITネットワーク統合パッケージ製品「Cloud Platform Suite(クラウド・プラットフォーム・スイート)」の販売を開始した。中堅企業を中心に通信事業者や大手企業をユーザー対象として、初年度に300セットを導入、販売高にして100億円規模を見込んでいる。一番の狙いは、販社がクラウド・ビジネスを手がけられる環境を整備すること。新しいコンセプトの製品の投入で、販社向け支援策を強化したことをポイントとしている。
統合パッケージ製品を市場投入
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庄司信一 サーバ・ワークステーション 事業本部長 |
「Cloud Platform Suite」は、サーバー「Express5800」シリーズ、ストレージ「iStorage」シリーズ、ルータやスイッチなどネットワーク関連機器「UNIVERGE(ユニバージュ)」シリーズといったハードウェアに、統合プラットフォーム管理ソフトウェアである「WebSAM SigmaSystemCenter(ウェブサム・シグマシステム・センター)」と基本構築サービスなどを組み合わせて製品化したものだ。
庄司信一・サーバ・ワークステーション事業本部長は、「当社のプラットフォームビジョン『REAL IT PLATFORM Generation2』を具現化した」としている。ラインアップは、中堅・中小企業向けに容易な導入が可能な「スタンダードパッケージ」、大規模の企業内データセンター向けに信頼性と拡張性を追求した「エンタープライズパッケージ」、省電力や省スペース性、直流受電など通信事業者のニーズに対応した「データセンターパッケージ」の3製品。
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保坂岳深 企業ネットワークソリューション 事業本部長 |
保坂岳深・企業ネットワークソリューション事業本部長は、「初年度の売上規模として、100億円程度を見込んでいる」という。導入数は300セットを目指しており、「『スタンダード』で3分の2(200セット)程度、残りが『エンタープライズ』と『データセンター』を販売していく」(保坂本部長)と、中堅企業を中心に販売することを示唆した。
メーカーのクラウド関連ビジネスといえば、PaaSやSaaSなど新しいサービスを創造して提供することが一般的。そのなかで、あえて同社がハードを中心とした統合パッケージ製品を投入したのは、サーバーを中心にシステム構築を手がけるインテグレータや、IP-PBXなどネットワーク関連機器を販売するインテグレータなど、同社がもつ販売網の全方位を通じて需要を掘り起こすためだ。「(当社と販社ともに)販売の幅が広がることになった」(保坂本部長)。クラウド基盤を短期間で簡単に構築できる製品といった販社が売りやすいと認識する環境整備で、他社を先行してクラウド時代で主導権を握ろうとしている状況が垣間見える。(佐相彰彦)