レノボで日本、北米、西ヨーロッパ地域などの営業部門を統括するミルコ・ファン・ドュイル上席副社長は週刊BCNの取材に応じ、ノートPC「シンクパッド」の低価格モデルを核にした製品展開とパートナーとの関係強化を徹底することで、日本の法人市場を攻略する考えを明らかにした。また、2010年の世界のPC市場について、販売台数は伸びるものの、景気低迷の影響などで低価格化が進むとの見方を示した。
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| ミルコ・ファン・デュイル上席副社長 |
ファン・デュイル上席副社長は「今年は買い替えサイクルもあり、法人のPC購買動向は徐々に回復するとみている。われわれはそれを見越してノートPC『シンクパッド』のT、Xなどの従来シリーズの販売に力を入れていく。同時に新シリーズの『シンクパッドX100e』『シンクパッド・エッジ』を市場開拓のキー製品にしていく」と製品戦略を述べた。
なかでも、大企業向けのエントリーモデルでキーボードの操作性などを追求した「X100e」が「日本の法人市場でのシェア獲得に向け、とくに重要な製品になる」と強調した。
低価格を背景にシェアを拡大してきたネットブックの法人導入に対しては、「世界的にみてもネットブックはあくまでサブ機。メインで使うことはない。これは日本でも同じ。ネットブックを利用したい企業が本当に欲しいと思っているのは、従来のノートよりも小型のPCだ」との考えを示し、「『X100e』『エッジ』はそうした要望に応えた機種だ。『シンクパッド』は高いブランド力をもっており、新シリーズでそうした需要を取り込んでいく」との意気込みを示した。
レノボは日本市場攻略に向け、販売面の強化も図る考えだ。具体的にはディストリビュータをはじめとする販売パートナーとの関係をさらに深める方針。ファン・デュイル上席副社長は「戦略は明確だ。パートナー事業部を立ち上げて人員も多く配置したほか、インセンティブ(販売奨励金)の積み増しなど販売プログラムを整えることにも着手した。今後はパートナーとの協業にも積極的に取り組んでいく。当社の売上高の90%以上がパートナー経由なので、協業を重視する姿勢をさらに強める」と説明した。
レノボは、1月に米ラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショーで、無線LANや3G通信機能を搭載して10時間の駆動が可能な小型モバイルデバイス「スカイライト」、タッチパネル液晶を採用し、ディスプレイを分離してタブレットのように使えるノートPC「アイデアパッド U1 ハイブリッド ノートブック」を発表。同イベントでPCメーカーでは最多の8部門で最優秀賞を受賞した点を強調しながら、技術力の高さもアピールした。
2010年の世界のPC販売については「回復の兆しが少しはみえるようになるだろう」と述べた。法人市場で日本、米国、豪州、欧州の大企業で需要が回復することを理由に挙げた。一方で、「コンシューマや中堅中小企業では低価格ニーズが加速。市場全体では価格下落が進むため、単価の高い法人需要があっても、金額は横ばいか若干伸びる程度」との認識を示した。(米山淳)

シンクパッドX100e(左)とアイデアパッド U1 ハイブリッド ノートブック。U1の日本での発売は未定