その他
日本IBM SMB向けバックアップ事業が好調 「FastBack」の販社網拡大
2010/02/10 21:10
週刊BCN 2010年02月08日vol.1320掲載
日本IBM(橋本孝之社長)は、バックアップソフトの「IBM Tivoli Storage Manager FastBack」によって、中堅・中小企業(SMB)のバックアップユーザーを順調に増やしている。これまで苦戦していたSMB市場で新規顧客を獲得している格好だ。全国半数の地域で販社を確保しており、近い将来には全国網が完成する見通し。トレーニングやキャンペーンなどの実施で販社を増やす方針だ。今後は、Linuxユーザーへのアプローチや大企業の支社・支店を顧客対象とするなど新市場への参入で拡販し、国内バックアップ市場でシェア拡大を図っていく。
新市場への参入でシェアアップへ 同社がSMB向けバックアップ事業に着手したのは2009年。「Tivoli」製品として「FastBack」を販売開始したことが発端だ。これまで「Tivoli」製品の販売は直販か大企業向けにシステム提供するSIerを販社として確保していたことから、同社ではSMBを対象とする販社を獲得することに乗り出した。販社の技術者に対するハンズオントレーニングや、販社との共同セミナー実施など多くの支援策を講じた。 最近では、技術者向けのコミュニティサイトとして「FastBack Japan Wiki」も提供している。これにより、「売りやすい」との声があがり始めて販社が増えるようになった。今では、「全国の約半分の地域で販売パートナーを確保した。今後も増えることは間違いなく、近い将来には全国で販社網を形成できる」(藪田和浩・ソフトウェア事業Tivoli・第二テクニカル・セールス部長)と自信をみせる。 製品面では、「FastBack」の新製品を今年に入ってから市場投入。新バージョンの「V6.1」では、新しく「データ重複削減機能」を標準機能として追加したことで、ファイルサーバーなどに保存されているオフィスの文書データや画像データなどを重複せずにバックアップし、前バージョンと比べて必要なストレージ容量を約40%削減できるようにした。また、これまでマイクロソフトのOS「Windows」のみを対象としていたのをLinuxにも対応。これにより、販社がLinuxベースでシステムを構築するユーザー企業を顧客として開拓できるほか、安価なシステムとしてLinuxを採用したいというユーザー企業の要求にも販社が応えられるようになった。さらに、パソコンやワークステーションのデータ保護に対応する「IBM FastBack for Workstations V6.1」を提供したことで、ユーザー企業がパソコン上でファイルを保存すると自動的にサーバー上にバックアップすることが可能になった。大企業向け「Tivoli Storage Manager」と連携できるようにしたことで、「すでに当社製品を導入している顧客の支社や支店に対して『FastBack』を提案できる。大企業の新規開拓も可能」(高瀬正子・ソフトウェア事業Tivoli事業部Tivoli事業開発部長)としている。 「FastBack」のユーザー企業が増えている背景には、ストレージ機器メーカーとのアライアンスが大きな要因としてあるようだ。昨年4月、アイ・オー・データ機器と協業。中小企業を対象とした機器と「FastBack」を組み合わせて提供することを販社に促したことが、新規顧客の開拓につながった。ソリューションプロバイダなどへのOEM(相手ブランドによる製品供給)提供なども進めており、「ユーザー企業に広く浸透させる環境を整える」(藪田部長)としている。販社向け支援の強化策については、「『FastBack』をベースに当社の他製品を組み合わせて売ると(利益率などで)メリットが高くなるといったキャンペーンを、1か月に1回の割合で実施する」(高瀬部長)方針を示している。 売上高については、「昨年度(09年12月期)が思った以上に高い売り上げを達成したため、今年度は若干の成長と見込んでいた予算を2~3倍に引き上げた」(高瀬部長)という。ゼロからスタートした昨年、予想以上の功績をあげただけに、「FastBack」関連ビジネスが今年度も順調に推移し、一気に開花する可能性を秘めている。【関連記事】日本IBMがパートナーを重視する理由 シェア獲得に不可欠な戦略と位置づけ 現在、国内バックアップソフト市場では日本CAやシマンテックなどのシェアが高く、ほかにも競合メーカーがひしめいている。そのような状況のなか、日本IBMがパートナー戦略に力を入れるのは、「中堅・中小企業(SMB)を対象に拡販し、国内シェアをを高めてトップ圏内に入る」(藪田和浩・ソフトウェア事業Tivoli・第二テクニカル・セールス部長)ことを目的としているからだ。シェアを拡大するためには、販社とのパートナーシップの深耕が重要と判断しているわけだ。 同社はこれまで主に大企業向けにバックアップソフトを売ってきたこともあり、直販を中心に据えていた。製造業や金融業などに対して「IBM Tivoli Storage Manager」を提供。販社経由でも、大手企業を対象としたSIerとのパートナーシップを重視していた。しかし、ハードやほかのソフトで培った「当社の販売網を生かすことが事業拡大につながる」。そこで、販売支援策を講じたり、同社以外のストレージ機器メーカーとのアライアンスに踏み切った。 今では、販社が増えていることに加え、「昨年度に予想以上の業績を実現したことから、当社内で、『FastBack』を売る意欲が出てきている」(高瀬正子・ソフトウェア事業Tivoli事業部Tivoli事業開発部長)としている。IBMのサーバーやストレージ関連部門で、大企業向けの機器とソフト、「FastBack」を組み合わせた展開を視野に入れているという。同社のサーバーやストレージ機器の販社が拡販していく可能性が高まっているわけだ。 ストレージ機器メーカーとのアライアンスでは、「アイ・オー・データ機器さんなどと共同でイベントに参加することが増えた」(藪田部長)ようだ。これによって、イベントに来場する中小企業の多くが「FastBack」に関心を示し、「イベントで商談が決まるケースもあった」(藪田部長)としている。(佐相彰彦)
日本IBM(橋本孝之社長)は、バックアップソフトの「IBM Tivoli Storage Manager FastBack」によって、中堅・中小企業(SMB)のバックアップユーザーを順調に増やしている。これまで苦戦していたSMB市場で新規顧客を獲得している格好だ。全国半数の地域で販社を確保しており、近い将来には全国網が完成する見通し。トレーニングやキャンペーンなどの実施で販社を増やす方針だ。今後は、Linuxユーザーへのアプローチや大企業の支社・支店を顧客対象とするなど新市場への参入で拡販し、国内バックアップ市場でシェア拡大を図っていく。
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