東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G、石田壽典社長)は、アジアを中心に、自社開発の製造業向けSCM/ERP(統合基幹業務システム)「MCFrame」と会計システム/ERP「A.S.I.A」の販売攻勢をかけている。二つを併せて提案されることが多い商材だけに、クロスセルしやすい販売体制の整備・強化を進める方針だ。
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| 山下武志マーケティングマネージャー |
2010年、中国・上海に現地法人を設立したB-EN-Gは、グローバル事業を積極的に推進してきた。すでにタイ・バンコクにも進出している。
中国における「MCFrame」の販売パートナーは3社。一方の「A.S.I.A」は、これとは別に1社の販売パートナーが再販活動を担っている。山下武志・プロダクト事業本部A.S.I.A事業部マーケティングマネージャーは、「ゆくゆくは二つのERPを一緒に販売していく。パートナーには、そのメリットを感じてもらえるようにしていきたい」と話す。拡販活動だけでなく、サポートサービスの協業も模索しているようだ。
「MCFrame」については、日系企業だけでなく現地企業にも食指を伸ばし始めた。大企業向けの製造業向けERP市場は、SAPやオラクルなど強力なプレーヤーがいるが、中堅・中小企業(SMB)向けは「中国では競合が少ない」(山下マーケティングマネージャー)という利点が導入拡大を後押ししている。いわば、ブルー・オーシャン戦略だ。日本発のパッケージを活用することで、日本のものづくりのノウハウを習得できることに魅力を感じる中国企業も多い。
課題は、中国人コンサルタントをいかに増やしていくかだ。日系企業であってもマネージャークラスが中国人である場合が少なくないため、人材の現地化が喫緊の課題。現在は、中国でトレーニングを積めるようにして、現地での人材育成に力を入れている。
対照的に、「A.S.I.A」は日系企業へのアプローチにとどまる。会計システムは、用友ソフトや金蝶国際ソフトといった中国企業との競合が激しい。価格面では不利な戦いを強いられ、「手ごわい」(山下マーケティングマネージャー)と実感しているようだ。
タイについては、中国と様相が異なる。「MCFrame」と「A.S.I.A」で、共通の販売パートナーが1社存在するが、「MCFrame」はあまり販売スキームを描けていない状況にある。「タイでは、まず日本人をしっかり育てていきたい」(入交俊行・プロダクト事業本部営業本部長)。タイに進出している日系企業は、いまだに担当者が日本人という場合が多いためだ。
現在、「MCFrame」のユーザー数はグローバルで240グループ程度、法人単位では750社程度とみられる。一方、「A.S.I.A」のユーザー数は250社程度。「(「A.S.I.A」のユーザーを)早く1000社に到達させたい。ただ、数を追うよりも、シェアをどれだけ獲得できるかが重要。日本企業の海外法人を開拓していく。まだまだシェアは小さいと判断している」(山下マーケティングマネージャー)と、市場開拓に強い意気込みを見せている。(信澤健太)