デジタルアーツ(道具登志夫社長)は初のハードウェア製品として、プロキシアプライアンス「DigitalArts Secure Proxy Appliance(デジタルアーツ・セキュア・プロキシ・アプライアンス)」の販売を11月に開始する。プロキシアプライアンスの市場は外資系メーカーの寡占状態にある。デジタルアーツは国産ならではの強みを生かし、まだ成長の余地がある市場の拡大と、競合他社からのシェア奪取を狙う。
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| 道具登志夫社長 |
新しく販売するアプライアンスは、IBMと協業して、x86サーバー「IBM System x」にデジタルアーツのプロキシエンジンを搭載したもの。道具社長はIBMとの協業について、「日本IBMは日本で長らくビジネスを展開していて、国産メーカーに近く、サポート体制もしっかりしている。日本IBMのパートナーのなかで、当社製品を扱っていないパートナーに販売してもらえるというように、販売のチャネルが広がる」と意図を明らかにした。営業部の今井賢司部長は、「パートナーにとっても、サイジングがあらかじめ決まっているので、アプライアンスモデルは売りやすい」と、販売する側のメリットを説明する。
オプション機能としてプロキシ型のWebフィルタリング製品「i-Filter」および他社のアンチウイルスエンジンの連携アダプタ、また複数の「Secure Proxy Appliance」の管理レポーティングを行うアプライアンス「Director(ダイレクター)」(2011年2月発売予定)なども提供する。
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| 高橋則行COO |
国内で高い販売実績をもつ「i-Filter」で培ったプロキシ技術だが、アプライアンス化にあたっては「64Bit対応のコンテンツキャッシュで同時に処理する量を増やした。大容量、高速処理によりユーザー企業が製品を導入するハード数を減らすことができるように配慮し、グリーンIT化を実現できる製品にした」(高橋則行COO)という。また、ACL(Access Control List)により詳細な制御を簡単にできるようにするなど、さまざまな機能強化を施している。
調査会社の富士キメラによると、プロキシアプライアンスの市場は年率10%ずつ成長を続けている。だが、外資系1社による寡占市場なので価格が高止まりし、導入したいけれども価格が高くて躊躇する企業も多く、その分、伸びしろが大きいとデジタルアーツではみている。道具社長は「i-Filterが法人向け販売に参入した当時は、ウェブセンスが90%以上のシェアをもっていた。だが国産ならではのいい製品で、良質なサポートを提供したからこそ、後発でも勝つことができた」と、自信のほどをのぞかせる。外資系メーカーに対するサポート上の不安を払しょくし、価格を競合他社の6~7割程度に設定することで、市場の空白ゾーンを取り込み、競合のシェアを奪うことを狙っている。
道具社長は「ハードとソフトのサポートを一元的に受けられ、かつ安価に導入することができる。パートナーにはi・Filterと同様、スムーズに販売できるよう、支援していきたい」と構想を語っている。(鍋島蓉子)