2010年10月22日、メーカーが「Windows XP」へのダウングレード権を行使したPCの出荷が終了した。同日以降は、ユーザー自身の手でダウングレードするか、「Windows XP」搭載の中古PCを購入して利用することとなる。こうした状況を朗報と捉える向きがある。「Windows XP」搭載の中古PCを販売できる事業者だ。“Windows XP特需”を機に法人市場にも食指を伸ばそうとしている。
ソリューション提案が不可欠
マイクロソフトは、2009年4月、中古PC向けのライセンスプログラム「Microsoft Authorized Refurbisher」(MAR)を開始した。MARプログラムは、中古PCの販売取扱量が多い事業者がマイクロソフトと直接契約を結ぶ形となっている。翌10年には中小の事業者向けに「Microsoft Registered Refurbisher」(MRR)を開始。MRRは、中小の事業者がOEM製品販売代理店と契約を結ぶ必要がある。
販売事業者に正規OSライセンス取り扱いのお墨付きを与えるマイクロソフトの認定プログラムは、事業者をふるいにかける効果があるだけでなく、エンドユーザーにとっては中古PCが選択肢の一つとして上がりやすくなったことを意味する。
2010年10月22日をもって、メーカーが「Windows XP」へのダウングレード権を行使したPCの出荷が終了したことは、MAR・MRRパートナーにとって追い風となりそうだ。というのも、認定パートナーだけがWindows XP(Home Premium/Professional)搭載PCに、セカンダリライセンスをプリインストールして販売できるからだ。
「Windows XP」のサポート期間が終了するのは2014年。業務アプリケーションの互換性の問題を抱えて「Windows 7」への移行に足踏みしているユーザー企業が少なくない。つまり、「Windows XP」搭載の中古PCの導入で、“延命”を図る動きが顕在化していくと予想されるのだ。
東京電力の子会社である東電環境エンジニアリングの齊藤友昭・営業本部OAリサイクル部長兼OA再生グループ長は「これを機に関係会社と協力して中古PCの提案を強化していく」と鼻息を荒くする。すでに「製造業の大企業からWindows XPの引き合いがあるようだ」(マイクロソフトの中塚三貴・OEM統括本部アカウントエグゼクティブ)という。
ただ、中古PC中心のビジネスでは限界があるのは明らかだ。法人市場の継続的な成長を臨むには、IT資産管理やサーバーのリプレース、仮想化製品・サービスなどを組み合わせた独自性のあるソリューション提案が必要となってくるはずだ。
SIerとの協業推進や主なPC調達先であるリース会社との関係強化などが当面の課題といえそうだ。(信澤健太)