神奈川県横浜市の金沢区に本社を置くコインロッカー・メーカーのアルファロッカーシステム(宮坂政志社長)。ここ数年、コンピュータを主体とした制御ユニットを搭載し、SuicaなどICカードをかざせば料金の支払いができる機種を展開している。しかし、「ロッカー構成のデジタル化によって、ちょっとしたトラブルが起きた時も現場に飛んでいかなければならない」(設計部の井上樹人主担)というのが悩みどころ。そこで、遠隔操作ができる日本ラントロニクスのソリューション「Spider」の導入を決断した。
アルファロッカーシステム
会社概要:1964年に設立。鍵などを製造・販売するアルファ(創業1923年)の100%子会社である。駅やプールなどに設置するコインロッカーや関連システム/周辺機器の製造や販売、リース、オペレーション業務を手がけている。
ソリューション提供会社:日本ラントロニクス
ソリューション名:SecureLinx Spider/Spider Duo
「Spider」の導入による業務の効率化
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| 日本ラントロニクスの有賀千帆セールスマネージャー。「タイミングよくお客様のニーズに対応できました」とうれしそうに語る |
アルファロッカーシステムは、SuicaやPASMOなどICカードの普及が進んでいることを受け、2005年から、ICカードをかざすだけで料金の支払いができる電子マネー対応ロッカーの開発に取り組んできた。現在、首都圏の主要な駅を中心に、およそ330台の電子マネー対応ロッカーを設置しており、今後もさらなる拡大を見込んでいる。電子マネー対応のロッカーは、制御ユニットを採用していることを特徴とし、管理・保守の仕方が従来のアナログ機種と大きく異なる。ロッカーの遠隔操作ができる「Spider」を導入する前は、トラブルが発生したという連絡を受けたら、保守の担当者が現場へ飛び、会社側と電話でやりとりをしながら、問題を解決するのが普通だった。設計部の井上樹人主担は、「現場へ行くのに時間がかかるだけでなく、電話だけでは現場の状況が会社側でつかみ切れず、すぐには修理できないことも多かった」と、ITソリューションの必要性を痛感したきっかけを語る。
そんな折、日本ラントロニクスの販売代理店であるエー・ディ・ティ(ADT)から、IP接続で各種サーバーを遠隔監視・制御することができるソリューション「Spider」の提案を受けた。日本ラントロニクスとADTは、「アルファロッカーシステムに最適な用途を想定したデモを行い、現場に行かなくても会社から直接に操作や細かい部分までの修復ができることを積極的にアピールした」(日本ラントロニクスの有賀千帆セールスマネージャー)という。井上主担は、「これはいけそうだ」と思い、遠隔操作による利便性に目を輝かせた。現場に行く労務費/交通費が削減できるほか、保守担当者の精神的な負担が減るなどのメリットを考慮に入れて、2009年10月に「Spider」の導入を決断。「導入によるメリットが明らかだったので、社内での決裁プロセスはスムーズに運んだ」(同)と振り返る。
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| 「業務が効率的になった」。アルファロッカーシステム設計部の井上樹人主担は、遠隔操作の利便性をほめる |
アルファロッカーシステムが「Spider」を導入した2・3か月後、日本ラントロニクスがローカルアクセスを実現し、さまざまな環境でリモート保守管理ができる「Spider Duo」を発売した。アルファロッカーシステムは、自社にとって「Spider Duo」の利点が大きいと判断し、こちらも導入。日本ラントロニクスの有賀セールスマネージャーは、「タイミングよく、お客様のニーズに対応できた」と笑顔をみせる。
「Spider/Spider Duo」を導入した現在は、ロッカー本体に遠隔操作を可能にするアプリケーションを搭載し、ロッカーに採用したディスプレイの画面を会社のパソコンで確認することができ、また会社のパソコンからキーボード操作でロッカーの制御ユニットに働きかけることができる。トラブルの原因によっては、例えば部品の交換が必要になれば今も現場に出向くが、「導入前と比べて、業務が効率的になった」(井上主担)と話す。今後は、「カメラを使って現場の様子をより細かく把握するなど、将来、現場に行く回数を最小限にする」(同)ことを目指して、ITソリューションのさらなる拡充を検討していくという。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
・お客様を待たせないで済む
・会社のエキスパートが直接に操作/修復できる
・問題解決の時間が短くなる