パートナーとともにつくり上げるプログラム――。キヤノンITソリューションズは、スロバキア共和国に本社を置くアンチウイルスソフトウェアメーカー、ESET社の製品を拡販するため、日本独自のパートナー支援プログラムを1月27日から本格的に展開する。パートナーとともに、メリットのあるプログラムに随時ブラッシュアップしていくのが大きな特徴。支援策を講じたうえでパートナーに求めているのは、“本気度”だ。
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| 崎山秀文部長 |
キヤノンITソリューションズは、ESET社のアンチウイルスソフトの販売対象として、これまで従業員50人クラスのSMB(中堅・中小企業)市場を主力としていた。キヤノンMJを介して、キヤノンシステムアンドサポートといったSMBに強いOA系の代理店が販売してきた。「動作が軽く、安く、検出率がいいという3拍子が揃っており、販社のドアノックツールとして格好の商材になっていた」(セキュリティソリューション事業部 ESET営業部 崎山秀文部長)。だが、このところ従業員1000人以上規模の企業で選択肢の一つとして挙がることが多くなってきた。従業員規模の大きい、中堅~大企業に対して製品を拡販できるフェーズが訪れていると同社はみている。
大企業に導入するためには、SI案件が発生した場合の対応力が求められる。こうした必須となる要件の支援策を盛り込み、「ESETセキュリティパートナープログラム(ESPP)」を発足させた。プログラムによって、独立系の大手SIer開拓を目指す。あわせて、従来から展開している、ハードウェア/ソフトウェアメーカーなどとのアライアンスを推進。キッティングやバンドルによるソリューションの開発を進めていく。
ESPPでは、三つのカテゴリによる支援策を展開する。(1)ディストリビュータ、リセラーを対象として、年間1億円以上のライセンス販売目標の達成と、導入サービス、1次サポートを実施する「認定プロフェッショナルパートナー」(2)リセラーを対象として、ライセンス販売、導入サービスを実施するパートナーである「認定パートナー」(3)ウェブ登録のみの「登録パートナー」──の三つに区分した支援策だ。
制度自体に大きな特徴はないという。だが、パートナーと共同でブラッシュアップしていく余地を残している。そのため、パートナーも販売に「本気」であることを求められる。「当社と同じビジョンを追求することができるかどうか、パートナーのやる気を測って認定していく」(崎山部長)。
キヤノンITソリューションズは、ESET社の最有力ディストリビュータとして、製品でもパートナーが欲する機能をエスカレーションして反映する力をもっている。販売面も製品面も日本市場とパートナーの売り方に合わせたカスタマイズが、これから可能になる。「製品力」が一番の要というが、製品の良さはどのメーカーも謳っている。競合が多く、訴求ポイントを前面に打ち出すことが難しいなかで、キヤノンITソリューションズのこれからの動きが注目される。(鍋島蓉子)