東亜レジン(東亜経営開発)
会社概要:東亜レジンは1958年設立の看板製作会社。セブン&アイ・ホールディングスや日本マクドナルドなどをユーザーとして抱える。東亜経営開発は東亜レジンの情報システム子会社で、主に社内向けITインフラの企画・運用を手がける。
システム提供会社:シトリックス・システムズ・ジャパン、リコージャパン
サービス名:デスクトップ仮想化ソリューション「XenDesktop」
東亜レジンが導入した仮想デスクトップ環境の概要

プロジェクトを担当した東亜経営開発の平山悦之システム開発室課長と、東京都狛江市にある東亜レジンの本社屋
東京本社のほか、全国合計10か所に工場・営業所を構え、看板製作業を営む東亜レジン。同社はクライアント端末環境を仮想化し、運用業務の効率化を果たした。選んだソリューションは、シトリックス・システムズ・ジャパンの「XenDesktop」。リコージャパンの担当者から提案を受けて採用を決めた。導入を決断した理由には、「XenDesktop」の技術的メリットがあるが、それだけではない。リコージャパンの地道な提案活動もポイントだった。
東亜レジンは、国内3か所に工場を構え、七つの営業所を構える看板製作会社だ。セブン-イレブンやマクドナルドの看板は、東亜レジンが製作している。従業員は約420人で、300台ほどのPCを保有。情報システム子会社である東亜経営開発の情報システム担当者7人が、手組み開発した基幹システムを含め、ITインフラの企画・運用業務を担っている。
2007年夏、東亜レジンは、老朽化したシステムのリニューアルと運用の手間の軽減を目的に、ITインフラの大規模な刷新を決めた。基幹システムの再構築などのほかに、クライアント端末に関する項目も盛り込んだ。その内容は、旧OS「Windows 98」搭載マシンから、「Windows XP」への移行を早期に進めること。そして各拠点に点在しているPCの管理業務の負担を軽くすることだった。
東亜経営開発の平山悦之・システム開発室課長は、単純にPCを買い替えるのではなく、VDI(バーチャル・デスクトップ・インフラストラクチャ)という技術(コンセプト)を用いた仮想デスクトップ環境の導入を検討した。PCに格納されているデータやアプリケーションなどのコンピュータ環境一式をサーバーに移し、ユーザーはネットワークを通じてその環境を利用する。管理者の運用業務を減らし、セキュリティを確保できるという利点がある。
いくつかの関連ソリューションを比較検討していたなかで、平山課長は意外な相手にこの仕事を任せることにした。コピー機などのOA・IT機器の購入でつき合いがあるリコージャパンに依頼したのだ。東亜経営開発には、基幹システムの構築など、ITインフラの構築・運用では20年以上のつき合いがある特定SIerがいる。リコージャパンとは「コピー屋さんというイメージでつき合っていた」(平山氏)。
しかし、その当時からデスクトップの仮想化ソリューションに力を入れていたリコージャパンが、足繁く通って地道に提案。富田圭一・ソリューション事業本部アシスタントマネージャーが中心になって、東亜経営開発の要望を聞き取り、「XenDesktop」の導入を薦めた。「私と同じ感覚をもっていて、身の丈に合った提案をしてくれた」と平山課長は、富田アシスタントマネージャーを評価する。導入を決めた後、2008年5月に試験的に20台のクライアント端末で導入し、現在は約150台のクライアント端末で利用している。今夏までには全300台の端末に利用する計画。導入にあたっては、4段階のステップを踏み、ユーザーの混乱を避ける工夫を施した。
導入の決め手になったのは、「ICA」と呼ぶネットワークを通じた操作のパフォーマンスが落ちない技術を「XenDesktop」がもっていたことが大きい。「管理コンソールが使いやすい」(平山氏)ことも評価している。リコージャパンも複数ある仮想化ソリューションのなかから「XenDesktop」を選んで提案したのは、「ブランドと実績とICAだった」(富田アシスタントマネージャー)。それだけではなく、コピー機などでつき合いがある事業者が、地道に足を運んだことも受注獲得につながった。(木村剛士)

リコージャパンの富田圭一アシスタントマネージャー(左)と、シトリックスの本田俊哉リード・アカウント・マネージャー(中央)、前田理恵アライアンス&ソリューションマネージャー
3つのpoint
・パフォーマンスを落とさない「XenDesktop」の技術力
・販社であるリコージャパンの提案力
・仮想化分野で持つシトリックスのブランド力