シトリックス・システムズ・ジャパン(マイケル・キング社長)は、9月27日、デスクトップ仮想化製品「Citrix XenDesktop」の新機能として、企業のノートパソコンユーザー向けの機能を追加した「Citrix XenDesktop4 Feature Pack 2(FP2)」を、9月末にリリースすると発表した。
FP2は企業資産のクライアントPC向けの仮想化ソフトウェア。今回、オフラインでデスクトップ仮想化環境を利用できる「XenClient」と、個人所有PCで仮想化されたアプリケーションを利用した場合の情報保護機能を提供する「XenVault」の2機能を追加した。
木村裕之副社長は「『XenClient』と『XenVault』の提供で、企業の業務環境をよりセキュアに利用することができるようになった。社外に持ち出したPCクライアントでも、情報漏えいや盗難時のリスクを回避できる唯一のベンダーとして、ますます広がるデスクトップの仮想化市場をけん引していきたい」と語った。

木村裕之副社長 グローバルでは、2014年までに全クライアントの72%がノートPCになるという予測が出ている。シトリックスは、日本では狭いオフィススペースや電車通勤、ブロードバンドの普及や在宅勤務などの要因によって、モバイルPC導入がさらに加速するとみる。マーケティング本部の北瀬公彦担当部長は、「企業の生産性を高めるために、モバイルPCの導入は急務となっている。モバイルPCには、盗難、紛失による情報漏えいや、在宅勤務でさまざまなPCが会社のネットワークに接続されることによるウイルス感染、故障リスクが存在する」と現状を語る。

北瀬公彦マーケティング本部担当部長 これらの課題を解決するのが、「XenClient」と「XenVault」だ。「XenClient」は、インテルとの協力で開発した企業資産のノートPC向けに提供する仮想化ソフト。「インテル vPro テクノロジー」の採用で、オフライン環境でも仮想マシンが利用できるようになった。集中管理のためのクライアントソフトウェアで「Receiver for XenClient」とサーバー側コンポーネント「Synchronizer for XenClient」との同期によって、仮想クライアントのデータを自動的にバックアップすることができる。万が一、仮想マシンが紛失、故障した場合には「Synchronizer」からリカバリできる。
「XenVault」は、個人向けのノートPCで暗号化されたディスク領域をつくり、アプリケーション仮想化製品「XenApp」などで配信されたアプリケーションを利用した場合のデータを安全に保存するソリューション。設定した使用期間の終了時や紛失時には、管理者がリモートでディスク領域のデータロックや削除ができる。
「XenClient」のハイパーバイザーは無償。管理機能の「Synchronizer」を利用する場合は、技術検証用として10デバイスまでは無償、11デバイス以降は「XenDesktop Enterprise」「XenDesktop Platinum」の導入が必要となる。一方、「XenVault」は「Citrix Receiver」のプラグインとして無償ダウンロードが可能。
発表会には、インテルのマーケティング本部エンタープライズ・プラットフォーム・マーケティングの徳永貴士統括部長が登場。vProテクノロジーを紹介しながら、「今回のシトリックスの発表を受け、当社のショールームでデモンストレーション、常設展示を行うことで、両社のソリューションが連携するメリットを伝えたい」と話した。

インテルの徳永貴士マーケティング本部統括部長