住宅や家具情報提供などのリビングスタイル(井上俊宏代表取締役)は、KDDIのクラウド基盤「KDDI MULTI CLOUD」と、米Retailigence(リテイリジェンス)のソリューションを組み合わせた“Online to Offline”と呼ばれるシステムを試験的に導入する。インターネットの情報を実店舗の売り上げに結び付けるという次世代システムで、リビングスタイルは、このテストユーザーに選ばれて、導入を決めた。
リビングスタイル
会社概要:ネットサービスを手がけるベンチャー企業で、2007年の設立。住宅や家具などの情報提供サービスほか、住宅などの間取りや配置をブラウザでシミュレーションできるウェブサイトを企画・運営する。
システム提供会社:KDDI米リテイリジェンス
サービス名:“Online to Offline”システム
リビングスタイルが利用する“Online to Offline”システムの概要
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| 井上俊宏代表取締役 |
リビングスタイルは、複数のメーカーが提供する家具やインテリアなどの情報を収集し、ウェブサイト上で消費者に提供するネットサービスを手がけるITベンチャーだ。3D技術を活用し、好きな家具やインテリアの配置を、ウェブサイトで自由にシミュレーションできるのが特徴だ。自宅や部屋の間取りに合わせて、どのような形状や色の家具やインテリアが合うかを、バーチャルで体感できる。
この10月、同社は、KDDIと、米国のベンチャー企業であるリテイリジェンスが共同で開発した「Online to Offline(O20)プラットフォーム」と呼ぶIT基盤を試験的に導入することを決めた。
「O2O(オーツーオー)」とは、ウェブサイトにアクセスして情報収集する消費者に、実店舗への来店と商品購入を促す仕組みを指す。オンライン(インターネット上の情報)を経て、その後にオフライン(実店舗)への行動を促すという意味で、「Online to Offline」と呼ばれている。
KDDIと米リテイリジェンスはこの分野にビジネスチャンスを感じて、このほど協業を決め、KDDIのクラウド基盤「KDDI MULTI CLOUD」と、米リテイリジェンスが開発・販売するO2O関連のウェブツールを組み合わせたソリューションをつくった。このソリューションは、実店舗が提供する商品やその価格、販売店や在庫などの情報を統合し、各ネットサービスやアプリケーションと連動するもの。両社は正式発売をする前に、サービスの品質や顧客の要望を調べるため、まずある特定のユーザー企業に限定して導入し、その使い勝手を検証することを決断。その1社としてリビングスタイルを選んだ。
リビングスタイルは、この仕組みを活用して、家具の商品カタログやAR(仮想現実)シミュレーション機能を搭載したAndroid搭載端末向けの専用アプリケーションを自社開発。消費者がこのアプリを利用し、商品情報を提供した家具のメーカーが運営する店舗で買い物をすると、購入ポイントの付与や割引が受けられる仕組みをつくった。今年度内には、ネットベンチャーのインサイト・プラスが提供するショッピングSNSアプリケーション「Shopping+」と連動させる予定で準備に入っている。ネットの情報にソーシャルメディア、スマートフォン、そして実店舗を連携させる挑戦的な取り組みだ。
井上代表取締役は、「KDDIから依頼を受けて、試験的に導入することを決めた。インテリアや家具といった商品は、消費者がネットの情報だけで購入するケースは少ない。実店舗で、その質感や使い心地など確かめたうえで購入するのが一般的だ。ネットの情報とリアル店舗での連携が極めて重要な商品なわけだ。今後はパソコンだけでなくモバイル端末での情報提供も必要と感じていたなか、今回の話があった。先進的なソリューションをモバイル環境で試せる機会だと思った」と導入を決めた経緯を話す。
試験導入期間は、2011年10月31日~12年5月31日で、まずは「SEMPRE」「TIMELESSCOMFORT」「212KITCHEN」という三つの対象ブランドメーカーのショップ全店舗でスタートする。井上代表取締役は、使い勝手について「とくに問題はなく利用できている」と高く評価している。そのうえで、「試験導入での成果次第だが、ユーザーの反応がよければ、有料になっても利用したい」と話している。
ネットと実店舗という一見すると相反するものを、最新のモバイル端末で結び付けてビジネス拡大を図ろうとする“チャレンジ事例”といえる。(木村剛士)
3つのpoint
・ネットと実店舗を連携させる必要性を感じていた
・モバイル環境でのネットサービスの台頭
・難なく操作できる容易な操作性