情報システム企画・開発の老舗、都築電気(安藤始社長)は、サイバーソリューションズが開発・販売するウェブ型メールシステム「CyberMail」を導入した。ユーザー企業にとって、最も重要な情報伝達・コミュニケーション基盤であるメールを、従来のクライアント/サーバー(C/S)システムからウェブ型に切り替えた。複数あるウェブ型メールのなかから、「CyberMail」を選んだのは、都築電気が運用する独自開発のグループウェアとの連携だった。そのプロセスを追う。
都築電気
会社概要:1941年設立(当時の社名は都築電話工業)の情報システム開発会社。北海道から九州まで拠点を設置し、企業ほか地方自治体など幅広いユーザー企業・団体を顧客にもつ。昨年度(11年3月期)の売上高は約613億円。
システム提供会社:サイバーソリューションズ
サービス名:メールシステム「CyberMail」
「CyberMail」の概要
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都築電気 島津幸一 部長兼推進課長 |
都築電気は、全国に拠点をもち、製造業や流通・サービス業、金融、地方自治体など、幅広い業種に向けて情報システムの開発とITサービスを提供するITベンダーだ。情報システム部門は10人で、これらのスタッフが基幹システムの企画・運用から、各拠点のシステム管理までを手がけている。
ウェブ型メールシステムの導入を検討したのは、3~4年前だったという。そのきっかけについて、今回のプロジェクトを仕切った島津幸一・情報管理部部長兼推進課長は、「メールは、貴重な情報資産が格納されている重要なITインフラ。それが各パソコンに保存されていることに、情報漏えいの危険性を感じた」と、セキュリティレベルを引き上げることが目的だったと話す。ウェブ型システムであれば、データはすべてサーバー内に格納されるため、万一、パソコン端末を紛失しても情報漏えいの危険性がないと考えたわけだ。
しかし、検討しているなかでネックになったのが、都築電気が運用する自社開発のグループウェアとの連携であった。都築電気では、各従業員がグループウェアに取引先などの連絡先情報を格納し、そこからデータを選んでメールで送信するといった使い方が多い。「グループウェアとの連携は必須機能だった」(島津氏)。そのなかで島津氏は、「CyberMail」が、都築電気のオリジナルグループウェアと容易に連携できる機能を実装したことを知り、従業員すべてのメール環境に導入することを即決した。クライアント数は約2000。島津氏は、「CyberMail」だけでなく、メールの保存システム「MailBase」と、ウイルス・スパムの侵入防御や誤送信防止、暗号化機能をもつメールの総合セキュリティシステム「MailGates」も、「『CyberMail』との相性のよさを考えて導入することを決めた」という。2011年の年初のことだった。
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サイバーソリューションズ 國分隆博氏 |
移行作業は、既存システムとの並行運用期間を設けずに、ある日を境に全拠点、すべての従業員に向けて「CyberMail」に切り替える方法をとった。「移行日のおよそ1か月前に社内に発表した。説明会を開き、社内の理解を得て移行した。従業員にとって使用する頻度の高いアプリケーションだけに(移行に)反発する声もあったが、1か月後には個別の問い合わせはほぼなくなった」(島津氏)。その理由について島津氏は、「Outlook」に似たユーザーインターフェースと、使いやすい操作性を挙げる。島津氏は「CyberMail」にしたことで、セキュリティ対策だけでなく、運用管理にかかる手間も従来の半分にできるとみている。サイバーソリューションズで今回の案件を担当した営業本部の國分隆博氏は、「通常であれば半年はかかるプロジェクトだが、(都築電気は)ITのプロだけに、驚異的なスピードで新システムに移行した」と話す。
都築電気は、「CyberMail」を導入する以前、2~3年前から「CyberMail」の販売パートナーでもある。今回の導入・運用ノウハウを武器に、「CyberMail」の拡販に弾みをつけたいと考えている。(木村剛士)
3つのpoint
・自社開発グループウェアと容易に連携できる
・保存システムやセキュリティ製品がある
・販社として提案に生かすことができる