動物用医薬品の老舗・フジタ製薬は、有力SIerの京セラ丸善システムインテグレーションが取り扱うビジネスインテリジェンス(BI)ソフト「Yellowfin(イエローフィン)」を採用した。iPadを導入したのを機に、スマートデバイスへの対応を積極的に進める「Yellowfin」に着目。iPadの主なユーザーである営業担当者が外出先でBIを活用するために導入を決めた。経営層だけでなく、商談の最前線に立つ営業担当者もBIを活用することで、ビジネスの効率化を進める。
フジタ製薬
会社概要:1930年創業のフジタ製薬は、動物用医薬品の老舗製薬会社である。本社は東京都品川区、八王子市と那須塩原市に事業所を置いている。那須塩原の黒磯工場は事業の拡大に伴い、2011年11月に開設したばかりだ。
プロダクト提供会社:京セラ丸善システムインテグレーション
プロダクト名:Yellowfin
iPadを閲覧デバイスに活用したシステム構成

KMSIの林勇吾グループ長(左)とYellowfin担当の北上真由美氏
BIは、全社で活用してこそ真価を発揮する。フジタ製薬の佐々木健治・管理部システム担当部長は、こう考えて「Yellowfin」の採用を決めた。BIは、これまで経営層をはじめとする限られた部門向けツールという面があったが、近年は現場の営業担当者もBIを活用してビジネスを有利に展開する動きが活発化している。
フジタ製薬は2000年にBIソフトの「Cognos」をすでに導入していたが、システムの規模が大きく複雑で、全社で気軽に使えるツールではなかったという。折しも同社では、外での活動が多い営業担当者を主な対象としてiPadを導入。2011年夏のことだった。顧客向けのプレゼンテーションや社内の情報共有に使うことを目的としており、「BI情報もiPadで閲覧できないか」と探したところ、スマートデバイスへの対応を積極的に推進している「Yellowfin」にたどり着いた。
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フジタ製薬 佐々木健治 システム担当部長 |
「Yellowfin」はオーストラリアのBIソフトメーカーYellowfin社が開発したソフトで、国内では京セラ丸善システムインテグレーション(KMSI)が取り扱っている。「Yellowfin」のスマートデバイス対応を積極的にアピールしてきたKMSIは、フジタ製薬からの引き合いを獲得した。BIは大手の老舗メーカーが幅を利かせており、経営分析に取り組むユーザー企業は何らかのBIツールをすでに導入していることが多い。実際、フジタ製薬もCognosを使っているが、KMSIの林勇吾・GB営業部ITサービス営業グループ長は、「スマートデバイスから手軽にBIを活用することができ、既存のBIのフロントエンドシステムとして併用できる『Yellowfin』を高く評価していただいて、採用が決まった」と、フジタ製薬との商談の経緯を話す。
iPadの主なユーザーである営業担当者向けには、取引履歴や過去の仕切り情報など、経営層向けのレポートとは異なる切り口でレポートを作成しなければならない。「Yellowfin」は、特定の情報を特定の人に切り出して閲覧させることを得意としており、「他の業務との兼ね合いで、レポート作成に多くの時間を費やせないシステム部門の負荷軽減に役立つ」と、2011年11月に「Yellowfin」の本格稼働にこぎ着けたフジタ製薬の佐々木・システム担当部長は、その使い勝手のよさを実感している。
KMSIで「Yellowfin」を担当する北上真由美氏は、「ウィザード(対話)形式ですばやくレポートを作成することができ、部門別のレポート配信機能にすぐれる。また、競合他社のBIに比べたコストパフォーマンスも高い」と話す。
フジタ製薬は、基幹業務システム(ERP)にOracle JD Edwards(JDE)を使い、データベースはIBM DB2、グループウェアはIBM Lotus Notesを使っている。JDEやDB2からデータを取り出しやすくするためKMSIから、業務アプリケーション統合(EAI)ツール「jBOLT」(Magic Software製)も購入。将来的にはERPや「Yellowfin」、グループウェア、今後導入を検討しているCRM(顧客管理システム)とのデータ共有をよりスムーズにすることでビジネスをさらに活性化していく。(安藤章司)
3つのpoint
・スマートデバイス(iPad)を使い、営業現場でBIを役立てる
・現場担当者向けに必要な情報を手軽にレポートできる
・大規模BIのフロントエンドシステムとして併用が可能