映画やアニメ、ゲームなどのコンテンツを提供しているアスミック・エース エンタテインメント(アスミック、長澤修一社長)。同社は、2011年、メールのウイルス・スパム対策システムの入れ替えをきっかけに、アプライアンスからクラウドへの移行を決断し、シマンテックのクラウド型サービス「Symantec MessageLabs Email Security・cloud」を導入した。
アスミック・エース エンタテインメント
会社概要:映画の製作・配給事業者。ビデオソフトやテレビゲームソフトの販売、海外への映画版権販売を手がけている。2011年3月期の売上高は97億円、従業員数は約80人。東京・六本木に本社を構える。
サービス提供会社:シマンテック
サービス名:Symantec MessageLabs Email Security.cloud
アスミックが導入したシステムの概要
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アスミック コーポレート本部 GM業務・人事担当神保宏 氏 |
アスミックは、劇場映画の配給をはじめ、アニメやゲームなどを提供している。2006年にウイルス・スパム対策システムをアプライアンス型で導入したが、昨年、アプライアンスの保守切れによってシステムの入れ替えが必要となり、それをきっかけとして、ハードウェアからクラウド型サービスへの移行を決断した。同社にとっては、社内のIT資産をクラウド化した初の事例だ。
アスミックがクラウドサービスの導入に踏み切ったのは、IT管理作業を“クラウド”(=ベンダー側)にアウトソーシングすることによって、IT管理者の負荷を削減する目的があったからだ。社員数およそ80人の同社は、IT管理専門のスタッフを配置しておらず、総務や人事などに携わるコーポレート本部がITの管理も担当するという体制をとっている。コーポレート本部に属し、ウイルス・スパム対策システムの管理を担当するGM業務・人事担当の神保宏氏は、「これまでのアプライアンス型では、蓄積された不要メールが30万件にも達して、毎日、不要メールの抽出や削除といった処理作業に2~3時間を要していた」と語る。さまざまな仕事を抱えながらも、IT管理にかなりの時間を割かなければならなかったわけだ。
アスミックは、ウイルス・スパム対策の入れ替えにあたって、従来からセキュリティベンダーとして使っていたシマンテックに提案を受け、2011年2月、クラウド型メールセキュリティ「Symantec MessageLabs Email Security.cloud」を導入した。このサービスは、シマンテックがライセンス形態で中堅・中小企業(SMB)向けに展開しているクラウド型セキュリティサービス「ドットクラウド」のうちの一つである。ユーザー企業に送信されるメールを、シマンテック側で「正規メール」「スパムメール」「ウイルスメール」に分類し、スパムメールとウイルスメールを専用のフォルダに隔離する。そして正規メールだけをユーザー企業のメールサーバーに送信するので、ユーザー企業はスパム・ウイルスメールの管理作業がいっさい不要となる。
アスミックが「Symantec MessageLabs Email Security.cloud」の導入を最終的に決断した理由は、サービスの料金がアカウント数ではなく、ユーザー数に合わせて設定される点にあった。アスミックは、社員が業務で利用するメールアカウントだけではなく、コンテンツのキャンペーン用のアドレスなどほかにも多数のアカウントを有しており、アカウント数は合計でおよそ250と、社員数を大きく上回っている。神保氏は、「メールセキュリティのクラウドサービスはアカウントごとの課金が通常だが、それでは当社の場合は割高になってしまう。一方、シマンテックにユーザー数に合わせて価格を設定してもらったので、当社に適したかたちでクラウドサービスを導入することができた」と顔をほころばせる。
神保氏は、「Symantec MessageLabs Email Security.cloud」の導入によって、IT管理に費やす時間を大幅に短縮することができた。その時間を生かして、人事をはじめとする他の仕事に、以前より集中して力を入れることができるようになっている。このように、クラウド導入によるメリットを肌で感じ、今後、IT資産のさらなるクラウド化を検討するという。「ファイルサーバーは容量が多いので、クラウドに移行すればかえってコストが高くなる。これからもハードウェアを利用するが、コスト削減につなげることを前提に、クラウド利用の拡大に取り組みたい」としている。(ゼンフ ミシャ)
3つのpoint
・ハードウェアのライフサイクルに縛られない
・導入費用を抑えられるユーザーごとの課金
・サービスの継続的な提供に信頼をもつ