日本事務器(NJC、田中啓一社長)は、セールスフォース・ドットコム(SFDC、宇陀栄次社長)の営業支援(SFA)・顧客情報管理(CRM)機能のクラウドサービス「Sales Cloud Enterprise Edition」を導入した。2009年に「iPhone」、10年に「Google Apps」を導入するなど、先進的なデバイスとクラウドを採用してきたなかで、今回、営業担当者の業務支援と社内の情報共有のために選んだクラウドが、SFDCのサービスだった。
日本事務器
会社概要:1924年設立のSIer。NEC製品を活用した情報システム構築とITサービスを一般企業や学校、医療機関に提供している。従業員数は979人(11年3月末時点)、売上高は256億円(同)。全国40か所に拠点を設置する。
システム提供会社:セールスフォース・ドットコム
サービス名:Sales Cloud Enterprise Edition
NJCが取り入れてきたIT製品・サービス
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| SFDCのイベントで先進ユーザーとしてNJCは講演。田中社長が壇上に立って説明した |
SIerのNJCは、先進のデバイスとITサービスを次々と導入する企業だ。2002年には無線LANを社内に整備し、04年にはウェブ会議システムとIP電話を取り入れている。最近では、09年に「iPhone」、10年には「Google Apps」の利用を開始。2年前からは「Facebook」を従業員に利用するように促し、今では全従業員の70%ほどはFacebookのアカウントをもっているという。「ITを販売しているわれわれが、まずはユーザーとなって試し、そこで得た経験を付加価値に変えて、顧客に届けるのが筋だと思う」(田中社長)。先進技術を取り入れた製品・サービスを、失敗を恐れずに矢継ぎ早に取り入れてきた。
NJCが「Sales Cloud Enterprise Edition」で解決した課題が、営業担当者の業務効率化と、社内の情報共有を活性化することだった。「営業担当者は、朝と外周りして帰社した後の夕方が、社内業務をする時間。資料の共有方法はメールの添付で関係者に送るのが基本的なやり方だ。共有しているシステムに資料を格納していることは知っていても、どこにあるのかすぐにわからない。そんな仕事のやり方を変えたかった」と田中社長は言う。また、「他地域・他部門のスタッフとのコミュニケーションが少ないことも懸念していた」。
「Sales Cloud Enterprise Edition」は、顧客や案件情報の管理、売上分析などをセキュアな環境で行うことができるクラウドだ。「Chatter」というツールを標準搭載しているのも特徴で、「Chatter」は、個人の活動状況を特定のメンバーに公開したり、ファイルを共有したりすることができる。NJCは、「Sales Cloud Enterprise Edition」を使うことで、営業担当者の業務効率化と従業員間のコミュニケーションを活性化を図ろうと考えた。

「Sales Cloud Enterprise Edition」に標準搭載されている情報共有ツール「Chatter」
類似機能をもつ他の製品・サービスはあるが、NJCが採用を決めたのにはいくつかの理由がある。田中社長は、「まず大前提としてクラウドであったこと。そしてすでに利用しているGoogle AppsとiPhoneとの親和性が高いこと、Force.comを使って連動したシステムを容易に開発できる点が大きかった」と話している。
NCJは、2011年から「Sales Cloud Enterprise Edition」の利用を開始。営業支援機能は、現在は東日本地域の営業担当者が利用しているが、今後は西日本地域にも利用者を広げる計画だ。Chatterは全員が利用している。
導入効果について田中社長は、「大事な情報が漏れなく伝わり、場所と時間を選ばずに仕事ができるので、ものごとを判断するスピードが速くなった。また、情報共有ツールを活用して、従業員が積極的にコミュニケーションを取るようになった。効果は大きかった」と満足げだ。
NJCは、iPhone/iPadやGoogle Appsの導入支援をビジネス化しているが、「Sales Cloud Enterprise Edition」についても当然ながらビジネス化に向けて検討している。(木村剛士)
3つのpoint
・クラウドサービスであること
・「iPhone」と「Google Apps」との連携のしやすさ
・ビジネスにつながる可能性があること