NTTデータグループが展開するSAP関連事業に大きな変化が起きている。7月2日、SAPソリューションをグローバルに展開するNTTデータ・グローバルソリューションズ(荒井功社長)を設立。新会社にグループ内のSAP関連事業を移管して、10月1日に営業を開始する計画を明らかにしている。国内企業のグローバル進出を強力に支援することを目的としている。
グローバルサポート力の必要性はより高まる
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| 荒井功社長 |
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| 小川兼一郎常務 |
今回の発表は、1年以上前からの取り組みの延長線上にあるものだ。昨年2月8日、NTTデータは、グローバルレベルでのSAPビジネスの推進に向けてグループ企業間の連携体制を構築した。「SAP Global One Team」である。
今年7月にNTTデータ・グローバルソリューションズを設立して、SAPビジネスをさらに加速していく。NTTデータとNTTデータソルフィスのSAP事業、クニエのSAP-AMO(Application Management Outsourcing)事業の移管を受ける。中途採用者を含めて、新会社の人員は300人程度になる予定だという。NTTデータソルフィスが展開する専門商社向けテンプレートなど、各社が実績をもつSAPテンプレートを共有する。プロジェクトマネージャーのタスクやロールの標準化なども進める。JSOLなどとグローバルプロジェクトで協力し合うことも考えられるという。
このほか、海外で事業展開する独アイテリジェンスといったグループ企業とも連携。グローバルロールアウトやホスティング、AMOのグローバル対応力を高める。
当面は、グローバル進出に意気盛んな日系企業を対象に事業を展開することになる。海外のグループ企業が対応できない日本的な手法でソリューションを提供する。
NTTデータ・グローバルソリューションズにとっては、グループ間で異なる文化の融合や給与・待遇面の調整が課題。常務に就任した小川兼一郎・エンタープライズITサービスカンパニーグローバルSAPビジネス本部本部長は、「文化が異なるので、融合が大変な作業になるが、One Teamを推し進めていく。それぞれにユーザー企業への対応が異なると、問題が生じる。じっくり取り組む時間などない」と、置かれている状況を語る。
社長に就任したNTTデータの荒井功・執行役員エンタープライズITサービスカンパニー第四法人事業本部長は、「日本国内では、1000人弱のSAP要員を抱えている。新会社を設立することで、リソースをスムーズに融通したり、各社がもっているソリューションを横展開したりできる」と強調する。
内需に頼れない企業が増えて、海外向けシステムの構築ニーズが高まるなかで、SIerのグローバルサポート力はいっそう求められるようになることは間違いない。多くのSIerにとってこのニーズの高まりは無視できないものになりつつある。(信澤健太)