NTTデータは、グローバル・ワンチーム体制を2012年1月から順次スタートした。世界のグループ企業の共通ブランドとして「NTT DATA」を前面に出していくとともに、ソリューションや業種、技術のテーマごとにグローバル横断的なチーム組織の整備を進める。名実ともに「One NTT DATA」として、地球規模でのビジネス拡大を推進。世界ITサービス市場でトップ5入りの目標に向けて、大きな一歩を踏み出す。山下徹社長に戦略を聞いた。
「One NTT DATA」で世界に挑む
――グローバル・ワンチームの体制がいよいよ本格的にスタートしました。
山下 2012年1月からまずは米州地区から順次「One NTT DATA」の運営体制に移行します。当社は世界進出をする過程において、さまざまな地場有力SIerをグループに迎え入れてきました。社名やブランドは地域によってバラツキがありましたので、これを「NTT DATA」へと順次、統一していきます。
名称だけでなく、仕事のやり方も変えます。例えばSAPやOracleなどソリューション別、通信や製造など業種別、ソフト開発基盤など、それぞれの分野ごとにグローバル・ワンチーム体制への移行を急ピッチで推進する。つまり、ユーザー企業は、この地球上、どこへいっても当社の高品質で均質なITサービスを受けられるように組織を整備していきます。
――一方で、国内ビジネスの伸び悩みも見受けられますが……。
山下 全体を見渡すと、国内の伸び悩みが相対的に目立ってしまっている感はあります。今期(2012年3月期)の連結売上高ベースでは、国内が前年度比約600億円減少する見込みであるのに対し、海外は前年度比約2倍の2000億円規模まで拡大する勢い。為替がまだ読めないところはあるものの、当社グループ全体ではおよそ400億円の増収になりそうです。ただ、国内では2011年11月に第6次全国銀行データ通信システムが無事、本格稼働するなど大型案件を着実にこなしてきました。震災や電力事情の悪化という逆風下でも、大きなトラブルなく完遂できたことについて、私自身は高く評価しています。
――あまりに急激な再編や成長は、ややもすれば空中分解につながりませんか。
山下 私も、グループに迎え入れたばかりのSIerを、いきなりNTT DATAに変えてしまうのはどうかと考えて、本当は時間をかけて統合していこうと思っていました。ところが、先日、米ボストンの会議に行ったところ、米国グループ会社の幹部から「あまり他人行儀にするのはよくない。早くOne NTT DATAに移行するべきだ」という意見が出され、その後、イタリアへ行ったときも同じような突き上げを食らってしまったのです(苦笑)。それじゃぁということで、米州は2012年1月から、欧州は4月から順次、One NTT DATA体制へ移行しようと、ここ数か月でバタバタッと決まりました。
仔細にみていけば、グループ会社のなかでも創業社長は社名にこだわりをもっていたりしますが、全体を見渡すと10兆円を超えるNTTグループの看板を使うことで信用力が増し、より大きな案件を受注できる可能性が高まるという期待が大きい。
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