ITベンチャー新時代の鼓動

<ITベンチャー新時代の鼓動>第5回 今流行のコラボレーション フリーミアムで売る

2012/06/21 20:29

週刊BCN 2012年06月18日vol.1436掲載

 近年のスタートアップ企業を語るうえで外せないキーワードは、「クラウド・コンピューティング」「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をはじめとするコラボレーション」、そして「モバイル」だ。

 2011年3月設立のco-meeting(木村篤彦代表取締役CEO)は、ソーシャルコミュニケーションダッシュボード「Crowy」やテキストベースでリアルタイムに会議ができる「co-meeting」を開発・提供している。同社は、従来のコミュニケーションツールが抱えている課題に着目。社内では、YammerやChatter、Skypeなどのツールを試した。現在も一部は継続して活用しているが、満足できるものではなかった。「co-meeting」を通じて細かいニーズに対応し、“隙間”を埋めようとしている。

 「co-meeting」の価格は無料。今後は、機密性と可用性、完全性に関する必要最低限の機能を実装した有料プランの「co-meeting Enterprise」(仮称)を用意する予定だ。

 トークノート(小池温男代表取締役)は、社内SNS「Talknote」を2011年から提供している。2012年1月4日に導入企業が1000社を突破し、5月22日時点で2000社に到達した。1000社の突破以降、2000社の獲得までに要した期間はわずか4か月と17日だった。

 前後して、4月5日には、サイバーエージェントの連結子会社で投資育成事業・ベンチャーキャピタル事業を展開するサイバーエージェント・ベンチャーズを引受先とする第三者割当増資を実施。増資を受けて、Talknoteの開発体制を強化し、新機能の開発、既存機能の改善などを推し進める考えを示した。

 サービスの利用は無料だが、1ユーザー月額500円で、クレジットカードで決済するプレミアム版もある。管理者によるユーザーの削除や招待機能の制限、電話・メールでのフルサポート、全グループと所属メンバーの確認などが可能となる。

 両社ともに採用している課金体系は、一定の制限(ユーザー数やアクセス権限、セキュリティなど)の有無によって料金が発生するフリーミアムモデルだ。SaaSアプリケーションの課金体系のなかでは少数派に属するが、スタートアップ企業には比較的よくみられる。

 フリーミアムモデルの場合は、有料版の利用企業の数を増やす取り組みが非常に重要だ。トークノートは2000社という豊富な実績をもつが、このうち有料版の実績は非公開。利用企業の数が多いことは、必ずしも収益に貢献しない。(信澤健太)
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外部リンク

co-meeting=http://about.co-meeting.com/

トークノート=http://talknote.co.jp/