ラリタン・ジャパン(クリストファー・マクファーソン社長)は、従来のKVMスイッチ事業に加え、節電ニーズの高まりによって成長が見込まれるデータセンター(DC)向け電源管理ソリューション事業の拡大を目指し、販売網の構築を進めている。このほど、米国に本社を置くIT設備系ディストリビュータであるAnixterの日本法人、Anixter Japanと国内販売代理店契約を締結した。販売パートナーをさらに増やし、3年後をめどに、DC向け事業の売上比率を50%に引き上げる計画だ。
ラリタン・ジャパンがAnixter Japanと組み、DC市場を開拓するための商材としているのは、遠隔地から電源の監視・管理ができる「インテリジェントPDU(ラック用電源タップ)」だ。DC事業者は、電気料金の値上げなどによって、センター内のエネルギー使用を抑えることに頭を悩ましていることもあって、DCの省エネ化を実現するツールとして、インテリジェントPDUが注目を集めている。
ラリタン・ジャパンは、KVMスイッチに強い販売会社を主要なパートナーとしてきたので、インテリジェントPDU専門の販社は抱えていなかった。今年9月に販売代理店契約を結んだAnixter Japanは、米国メーカーのネットワークケーブルを中心とするITインフラ製品の再販を手がけており、データセンターの建設や設備インフラの構築をビジネスとする事業者を取引先としている。KVMスイッチを取り扱うラリタン・ジャパンの他の販社とまったく異なる市場に強い販社となる。
ラリタン・ジャパンのジェラード・ポールクラーク カントリーマネージャーは、「Anixter Japanとの提携によって、日本のDCオペレータを獲得するための基盤ができた」とし、今まで入り込めなかった市場を本格的に開拓することに期待している。両社は、有力DC事業者をインテリジェントPDUのターゲットに据えており、サーバーラック増設の需要を狙って、ラリタン製品を提案していく。
すでに営業活動を開始しているAnixter Japanの櫻木靖也カントリーマネージャーは、「このところ、毎日のように問い合わせや見積もりの依頼がきている」と、インテリジェントPDUのニーズに確実な手応えを感じている。大量購入の場合に価格を下げるボリュームディスカウントを用意するなどで、事業の拡大を図る。
ラリタン・ジャパンは、今後、Anixter Japanのほかに、インテリジェントPDUを販売するパートナーをさらに増やす意向だ。3年後、インテリジェントPDU事業を中心とするDC向け電源管理ソリューションの売上構成比を50%と、現状の約2倍に引き上げることを目標としている。(ゼンフ ミシャ)
Anixter Japanの櫻木靖也カントリーマネージャー(左)と、ラリタン・ジャパンのジェラード・ポールクラーク カントリーマネージャー