米パラレルスは、SP(サービスプロバイダ)やホスティング事業者など、パートナー企業を対象としたカンファレンス「Parallels Summit 2012 APAC」を、9月21日と22日の2日間にわたってシンガポールで開催した。APAC(アジア・パシフィック)を中心に、欧米も含めて27か国から420人が参加。カンファレンスでは、アジアはSMB(中堅・中小企業)がクラウドサービスを利用する可能性が高く、有望な市場であることをアピールした。(取材・文/佐相彰彦)
2015年には市場規模が2倍に
APACでの協業強化をアピール

米パラレルス
バーガー・スティーン
CEO 「Parallels Summit」は、SPやホスティング事業者などが集まるカンファレンスで、米パラレルスのビジョンを訴求する場であり、参加企業同士がコミュニケーションを図る場という意味合いももっている。今年は、2月に米フロリダ州で開催。6月には日本、そして9月にシンガポールで開かれた。
シンガポール会場の初日の基調講演では、バーガー・スティーンCEOが登壇し、「SMBのIT投資額は1兆ドルの規模がある。しかし、クラウドサービスの導入はこれからの状況。まさにブルー・オーシャンだ」とアピールした。そのなかでAPACについては、参加者のビジネス領域である「ホステッドインフラストラクチャ」「ウェブプレゼンス」「コミュニケーション&コラボレーション」「ビジネスアプリケーション」の4分野が、「2012年に76億ドル程度の規模、15年には2倍以上の198億ドルまで膨れ上がるだろう」と分析。パートナー企業との協業を強化することによって、APACでのSMB向けビジネスを拡大する考えを示した。

米パラレルス
ジャック・ズバレフ
プレジデント また、創業者の一人であるジャック・ズバレフ プレジデントは、「日本は、大きな可能性を秘めた市場」と断言。日本は徐々にSMBがクラウドを使うようになっているものの、欧米に比べるとまだ規模が小さいという理由からだ。ズバレフ プレジデントは、「Facebook一つをとってみても、米国では企業によるページの開設率が45%であるのに対して、日本は26%だ」とも説明。それでも、SPやホスティング事業者によるクラウドサービスが拡大しつつあることから、「今年、日本は従業員10~49人のSMBによるクラウドへの投資額として630億円程度が見込まれる」という。そのため、日本法人に対しては人員を増強するなど、積極的に投資する方針を示している。
パートナー企業もアジアに期待
DC増強やリセラーとの協業を模索

米ソフトレイヤー
・テクノロジーズ
ジョージ・カリディス
最高戦略責任者 米パラレルスは、日本を含めたAPACの市場でSMBをユーザーターゲットとしてビジネスの拡大を目指しているが、パートナー企業はどのように考えているのだろうか。
13拠点のデータセンターを所有し、140か国で2万6000社のユーザー企業、10万台のサーバーを管理しているホスティング事業者の米ソフトレイヤー・テクノロジーズは、専用型、マネージド型、クラウド型で提供する“ハイブリッドホスティングサービス”を武器に、「各国でシステムインテグレータとパートナーシップを組んでSMBに当社のサービスを普及していく」(ジョージ・カリディス最高戦略責任者)という。日本や香港、インドなどでDCを設置するか、もしくは各国の有力なホスティング事業者とアライアンスを組むことを検討しており、「アジア地域でユーザー企業を増やす」との方針を示している。

独ラックスクラウド
マルコ・ホーウェン
CEO SPやホスティング事業者に対してクラウド型サービスデリバリプラットフォームを提供する独ラックスクラウドは、「日本市場でのビジネスに着手するために、ホスティング事業者2~3社と交渉している」(マルコ・ホーウェンCEO)という。APACでは、同社のプラットフォームを販売するパートナーとしてリセラーを確保することも模索している。
米ソフトレイヤーと独ラックスクラウドの両社とも、パラレルスの製品を活用することで自社のホスティングサービスやプラットフォームを強化し、今後は欧米だけでなくAPACでのビジネス拡大を見据えている。「Parallels Summit 2012 APAC」では、米パラレルスのパートナー企業がビジネス領域を広げようとしている姿が浮き彫りになっていた。